2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞移植による血管新生療法の改良型開発のための基礎研究
Project/Area Number |
14370235
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
室原 豊明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90299503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 隆久 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00303644)
古森 公浩 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40225587)
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Keywords | 血管新生 / 血管発生 / 骨髄細胞 / 再生医療 / 虚血性心疾患 / 細胞治療 / 血管内皮細胞 / 血管内皮前駆細胞 |
Research Abstract |
近年我々は成人末梢血中に血管内皮細胞に分化しうる未分な細胞(内皮前駆細胞)が存在することを発見し報告した(Asahara et al Science 1997)。内皮前駆細胞(EPC)は、血球系未分化幹細胞と起源を等しくすると考えられ、末梢血以外に骨髄や臍帯血からも採取可能である。我々はこれまでに、ヒト臍帯血や末梢血から内皮前駆細胞を得ることに成功し、さらにこれらの細胞を虚血骨格筋内へ移植することにより、血管新生や側副血行路の発達が促されることを確認している。 成人においては、内皮前駆細胞は、唯一の造血臓器である骨髄に由来する。我々は2000年より多施設共同研究として、重症閉塞性動脈硬化症・Buerger病患者に対する自己骨髄細胞移植による血管新生療法を開始しており良好な成績を得ている(TACT study ; Lancet 2002)しかしながら同時に改良すべき点も多い。 そこで今回我々は、臨床応用がより遂行しやすい、しかもより効果が期待されやすい改良型の細胞移植血管再生療法の開発をめざした。我々はまず、ヒト末梢血由来の内皮前駆細胞の移植前刺激による血管新生効果の増強が可能か否かを検討した。健常人の末梢血単核球から培養した内皮前駆細胞を2群に分け、一方を通常の酸素存在下(正常酸素下)、もう一方を低酸素下で培養した(低酸素刺激)。低酸素刺激された内皮前駆細胞(hypoxia-preconditioned EPCs)は、その遊走能・VEGF産生能・内皮への分化度が正常酸素培養群に比べて有意に増強していることが明らかにされた。さらにこれらの細胞を分離し、免疫抑制動物(ヌードラット)の下肢虚血部にそれぞれ移植すると、低酸素刺激内皮前駆細胞群で、正常酸素刺激内皮前駆細胞に比べ有意な血管新生作用の増強が見られた。したがって、低酸素暴露という処置で、移植細胞の機能増強が図れることが明らかにされた。この成果は2003年1月号のLaboratory Investigation誌に掲載された。さらに、細胞に機械的な刺激を与えた場合に、細胞機能が活性化されるか否かを検討した。これまでに京都大学の北らは、THP-1細胞にボルテックスを掛けると細胞の接着性が亢進することが示されている。骨末梢血単核球細胞にボルテックスを掛けて培養すると、内皮前駆細胞様の接着細胞の出現が増強された。さらにこの細胞の発現は、血球系幹細胞分化誘導因子であるG-CSFの投与により増強された。以上のように、移植前幹細胞の機能強化療法は、将来十分臨床に応用できる可能性が示唆された。以上がこの研究申請に関し、今年行われた内容である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Akita T, Murohara T, et al.: "Hypoxic preconditioning augments efficacy of human endothelial progenitor cells for therapeutic neovascularization."Laboratory Investigation. 83. 65-73 (2003)
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[Publications] Egami K., Murohara T et al.: "Role of host angiotensin II type I receptor tumor angiogenesis and growth."Journal of Clinical Investigation. 112. 67-75 (2003)
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[Publications] Sasaki K, Duan J, Murohara T, et al.: "Rescue of hypercholesterolemia-related impairment of angiogenesis by oral folate supplementation."Journal of American College of Cardiology. 42. 364-372 (2003)
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[Publications] Numaguchi Y, Okumura K, Murohara T et al.: "Catheter-based prostacyclin synthase gene transfer prevent in-stent restenosis in rabbit atheromatous arteiries."Cardiovascular Research. 61. 177-185 (2004)
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[Publications] Takeshita K, Murohara T et al.: "Increased expression plasminogen activator inhibitor-1 in cardiomyocytes contributes to cardiac fibrosis after myocardial infarction."American Journal of Pathology. 164. 449-456 (2004)
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[Publications] Murakami R, Murohara T, et al.: "Cyclosporin A enhances interleukin-8 expression by inducing activator protein-1 in human aortic smooth muscle cells"Arteriosclerosis Thrombosis Vascular Biology. 23. 2034-2040 (2003)