2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞イオン代謝異常による心筋機能不全発症機序の研究
Project/Area Number |
14370236
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
重川 宗一 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 部長 (00113738)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 裕典 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室員 (60228509)
岩田 裕子 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室員 (80171908)
|
Keywords | 心不全 / 心筋症 / ジストロフィー / ストレッチ活性化チャネル / サルコグリカン |
Research Abstract |
本研究の目的は、心筋症・心不全の発症に最も重要な細胞反応である筋細胞の形質転換とそれに続く細胞変性を引き起こす細胞過程を同定し、病態発症におけるその役割を明らかにすることである。そのため、ジストロフィン複合体成分サルコグリカン異常により遺伝性心筋症および骨格筋ジストロフィーを発症するBIO14.6ハムスターを主として用い、以下の成果を得た。1)心筋症ハムスター培養骨格筋細胞においては、正常細胞と比べて、細胞外からの高い異常なCa^<2+>流入活性を示すこと、2)筋細胞をシリコン膜上に培養しcyclic stretch刺激を加えると、この細胞系は容易に高いクレアチンキナーゼ(CK)活性を外液中に放出し機械的な刺激に対する顕著な脆弱性を示すこと、3)電気生理学的検討から、この細胞系にはCa^<2+>を透過させ且つイオン選択性が比較的低いstretch-activated cation chanel活性が有意に増大していることが判明した。そこで、4)いくつかの関連イオンチャネルに共通なアミノ酸配列を利用して作成した多重プライマーを用いてPCRクローニングを行い、このカチオンチャネルの候補遺伝子を得た。この候補チャネル蛋白は、心筋症ハムスター心筋および骨格筋、他の心不全モデル動物心筋およびヒト心不全心筋の筋細胞膜に高発現しており、また、これに対するアンチセンスオリゴを導入した心筋症ハムスターの培養筋細胞では、このチャネル蛋白量の減少と共に上述のCa^<2+>流入異常およびCK遊離異常が抑制された。また、このチャネル蛋白量をCHO細胞に強制発現させたところ、観察されたチャネル活性の諸性質は、阻害薬感受性を含め、心筋症ハムスター培養筋細胞におけるチャネルの性質と著しく類似していた。5)この候補チャネル蛋白質を心筋特異的に発現するトランスジェニックマウスを作成したところ、心臓は拡張型心筋症の病態を呈し、細胞壊死、それに伴う繊維化が観察され、著しい心機能低下が認められた。従って、今回見出されたこのチャネルは、初めてのstretch-activated cation chanelであるばかりではなく、心筋症・心不全、筋ジストロフィーの病態発症に大変重要なものである可能性が高い。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Shigekawa M, Iwamoto T et al.: "Probing ion binding sites in the Na+/Ca2+ exchanger"Annulus New York Academy of Sciences. 976. 19-30 (2002)
-
[Publications] Pang T, Wakabayashi S, Shigekawa M: "Expression of calcineurin B homologous protein 2 protects serum deprivation-induced cell death by serum-independent activation of Na+/H+ exchanger"Journal of Biological Chemistry. 277. 43771-43777 (2002)
-
[Publications] Yamashita J, Kita S, Iwamoto T, Ogata M, Takaoka M, et al.: "Attenuation of ischemia/reperfusion-induced renal injury in mice deficient in Na+/Ca2+ exchanger"Journal of Pharmacological Experimental Therapeutics. 304. 284-293 (2003)
-
[Publications] Wakabayashi S, Hisamitsu T, Pang T, Shigekawa M: "Mutation of Arg440 and Gly455/Gly456 oppositely change pH-sensing of Na+/H+ exchanger NHE1"Journal of Biological Chemistry. 278(発表予定). (2003)
-
[Publications] Su X, Pang T, Wakabayashi S, Shigekawa M: "Evidence of involvement of the putative first extracellular loop in differential volume sensitivity of Na+/H+ exchanger NHE1 and NHE2"Biochemistry. 42. 1086-1094 (2003)
-
[Publications] Hirata T, Kaneko T, Ono T, et al.: "Mechanism of acid adaptaion of a fish living in a pH 3.5 lake"American Journal of Physiology. (発表予定). (2003)