2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370238
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 弘前大学, 医学部, 教授 (20168339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照井 君典 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (00333740)
土岐 力 弘前大学, 医学部, 助手 (50195731)
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Keywords | Bach1 / ダウン症候群 / TAM / 急性巨核球性白血病 / GATA-1 / トランスジェニックマウス / 転写因子 |
Research Abstract |
ダウン症で見られる類白血病反応(TAM)の原因遺伝子を明らかにし、ダウン症の白血病発症の機構を明らかにするために研究を行い、平成14年度は以下のことが明らかとなった。 1.Bach1トランスジェニックマウスの解析 我々の作成したBach1トランスジェニックマウスは、造血細胞のみにBach1が過剰発現しており、血小板減少症を呈した。また、巨核球はα顆粒やdemarcation membraneの減少など高度な形態異常を認めた。しかし、急性巨核球性白血病の発症はまだ認めない。Bach1トランスジェニックマウスでは、骨髄は線維化が著しく、脾臓にも巨核球の周辺に線維化が認められたが、TAMによく認められる肝線維症は認めなかった。 2.TAMの責任領域に存在する新規遺伝子の単離 21番染色体上のTAMの責任領域に存在する7個の遺伝子について、組織特異的発現パターンを解析したが、造血組織特異的発現を示す遺伝子は見られなかった。そこで、我々は、TAMの責任領域(21q11.2)に存在する複数の新規遺伝子の単離を開始した。これまでに4つの新規遺伝子cDNAの一部分を単離したが、得られた遺伝子の内の2クローンは、ダウン症に発症した白血病細胞から樹立された細胞株のみに大量に発現していた。そこで、この遺伝子の完全長のcDNAをクローニングした。その結果、この2つの遺伝子は同一の遺伝子である可能性が高いことが明らかとなった。 3.TAM症例における原因候補遺伝子の変異の解析 最近、我々はGATA-1遺伝子の変異がダウン症の前白血病状態と急性巨核球性白血病で高率に見られ、いずれの症例もN末端の転写活性化ドメインが欠落した変異GATA-1が発現していることを発見した。
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