2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱性けいれんの発現機序の解明に関する神経生理学的・分子生物学的研究
Project/Area Number |
14370241
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
飯沼 一宇 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80004927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩野谷 和裕 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00208414)
横山 浩之 東北大学, 大学病院, 助手 (40271952)
呉 繁夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10205221)
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Keywords | 熱性けいれん / Na+チャネル / K+チャネル / チャネル異常 / パッチクランプ / 温度変化 / 電位依存性 / 抗ヒスタミン薬 |
Research Abstract |
近年熱性痙攣や重症乳児ミオクロニーてんかんでは電位依存性Na^+チャネルαあるいはβサブユニットをコードしている遺伝子(SCNIAほか)の異常が同定されている。本研究ではNa^+チャネルの異常が何故に発熱(細胞温度上昇)によって興奪性を呈するのかをパッチクランプ手法により検討することを主目的としている。また、我々の先行研究では、発熱に際して抗ヒスタミン薬を服用していると、有意に痙攣をきたしやすいことが明らかになっている。今回はパッチクランプの手技を習熟することとあわせて、大脳皮質細胞のチャネルに対する第一世代抗ヒスタミン薬の作用を検討し、神経細胞の2種類のK+チャネル、特にMチャネルを抑制することを確認した。標準的対する第一世代抗ヒスタミン薬であるpyrilamineがMチャネル孔に直接作用していることが示唆された。また、H_2拮抗薬はMチャネルを抑制せず、第1世代抗ヒスタミン薬に影響されなかった。 Mチャネルは神経細胞に存在するK^+チャネルのひとつで、神経の過剰興奮を抑制している。よって、Mチャネルの抑制は中毒域において第1世代抗ヒスタミン薬の中枢神経系副作用を引き起こす可能性が示唆された。 通常のパッチクランプの実験では細胞を収容しているチャンバーの液温をおよそ室温で行っているが、細胞の温度を上昇させるためには細胞周辺の外温を一定以上に上昇させ、薬液をY字管からゆっくり注入しこの間に薬液温度が上昇することを期待した。しかし、既成のY字管では温度が不安定であった。そこでY字管の先をループ状に突出させることによりチャンバー内液温を35℃にすることが可能となった。この状況では細胞が時間とともに弱るのが、40℃でもかろうじてNa+チャネルの動態を記録できるようになった。
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