2002 Fiscal Year Annual Research Report
小児1型糖尿病の病因-素因・環境・免疫の関連における内因性レトロウイルスの意義
Project/Area Number |
14370251
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松浦 信夫 北里大学, 医学部, 教授 (50002332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陣野 吉廣 琉球大学, 医学部・附属沖縄アジア医学研究センター・分子生物研究分野, 教授 (20179097)
風張 幸司 北里大学, 医学部, 助手 (90214288)
横田 行史 北里大学, 医学部, 講師 (40158366)
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Keywords | エンテロウイルスmRNA / VP4領域遺伝子 / HLA抗原遺伝子 / 膵島関連自己抗体 / GAD抗体 / 内因性レトロウイルス / IDDMK1,2-22 / スーパー抗原 |
Research Abstract |
1型糖尿病の病因をHLA抗原遺伝子に代表される素因と環境因子の両面より検討している。 (1)IDDM患者血清よりRT-PCR法によるcoxsackie virusB(coxB)特異的mRNAの分離 発症時患者より血清を採取しmRNAを抽出し、そのmRNAを鋳型にc-DNAを合成する。現在までに60例ほどの初発症例で分離を試みたが、coxBmRNAの分離に成功したのは1例のみであった。この間、Diabetes 51:1964-1971,2002に掲載された論文「Enterovirus RNA is found in peripheral blood mononuclear cells in a majority of type 1 diabetic children at onset」によると1型糖尿病発症時の患者末梢血リンパ球内にエンテロウイルス遺伝子mRNAが50%(12/24)と高率に検出されるということが報告された。(兄弟からは26%(5/19)、健常人コンロトールは0%(0/24))。このため、我々の研究方法を急遽発症時患者血液から単核球を分離し、血清と一緒にCox BmRNAを分離する方法に切り替えた。この場合、VP4領域の系統解析が可能であり、特定のCox Bウイルスを同定することも可能である。この場合、DNAを取り扱うため、再度倫理委員会に申請し、承諾を待っているところである。(2)ウイルス分離とHLA抗原遺伝子、膵島関連自己抗体の同定:ウイルス分離を行った血清については、ウイルス抗体を測定すると同時に、GAD抗体、IA-2抗体、IAAを測定している。新しい研究では同時にHLA抗原遺伝子を測定し、ウイルス分離と発症の関連について検討する。 (3)内因性レトロウイルスIDDMK1,2-22のENV蛋白N末端にクラスII MHC依存性スーパー抗原活性部位の多型:ENV蛋白N末端から339,510番目にアミノ酸配列の変化を伴うA→G変異を発見し、1型糖尿病と関連することを明らかにした。この多型の意義はまだ十分明らかではないが、従来からの検討に合わせ、1型糖尿病児を急性発症5歳以上例(A),5歳未満例(E),ゆっくり進行するSPIDDM(S)及び正常対照(C)に分けて検討している。現在の所、3群間及び正常対照の間に大きな陽性率の差を認めて居ない。(4)発症感受性遺伝子の両親からの伝搬:我が国では1型糖尿病の1親等の家族歴は少ないが、母親に糖尿病、特に2型糖尿病を有する頻度は高い。これに対して発症率の高い欧米では、特に父親に糖尿病を有する頻度が高く、多くは1型糖尿病である。現在までに17家系について、両親、兄弟の血液か採取され、HLA遺伝子の発症感受性遺伝子がどちらの親から来ているか解析している。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Ahmed S: "Association study between CD30 and CD30 ligand genes and type 1 diabetes in the Japanese population"Genes Immunity. 3. 96-101 (2002)
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[Publications] Wafaa M: "Association study of the NRAMP1 gene polymorphism and early-onset type 1 diabetes"Immunogenetics. 54. 282-285 (2002)
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[Publications] Holl RW: "Insulin Injection Regimens and Metabolic Control in an International Survey of Adolescents with Type-1-Diabetes over 3 years : Results from the Hvidore Study Group"Eur J Pediatr. 162. 22-29 (2003)
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[Publications] 宮本茂樹: "1型糖尿病患者の突然死-本邦における"dead in bed syndrome"について-"小児科臨床. 33(3). 369-371 (2002)
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[Publications] 松浦信夫: "HNF-1α遺伝子異常によるMODY母子例の臨床的検討"糖尿病と妊娠. 2(1). 89-91 (2002)
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[Publications] 松浦信夫: "低血糖症候群"日本医師会雑誌。 特別号「内分泌疾患診療マニュアル」. 127(12). 262-265 (2002)
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[Publications] 松浦信夫: "小児糖尿病治療の原則。 新時代の糖尿病学(3)"日本臨床. 60(増9). 707-711 (2002)
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[Publications] 横田行史: "小児糖尿病患者の治療ポイント(1)-(3)。糖尿病診療ガイダンス.小児の糖尿病 In糖尿病診療Q&Aマニュアル,第3版"Medical View社 片山茂裕、河盛隆造(編集). 9 (2002)
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[Publications] 飯高喜久雄: "心臓手帳-児童・生徒用-"日本学校保健会(編集). 40 (2002)
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[Publications] 飯高喜久雄: "腎疾患児。新・学校生徒管理指導のしおり。学校・学校医用"日本学校保健会-心臓・腎臓等管理指導小委員会. 10 (2002)
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[Publications] 学童糖尿病検診研究会: "尿糖陽性児童生徒の事後措置ガイドブック"ノボルディスクファーマ(株). 29 (2002)
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[Publications] 松浦信夫: "インスリン治療の新しい展開 : 超速攻型インスリン導入を迎えて。3.小児1型糖尿病における有用性。In糖尿病学の進歩2002"日本糖尿病学会(編集). 4 (2002)
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[Publications] 村上睦美: "腎臓疾患・糖尿病の子どもの学校生活。「養護教諭-毎日の執務とその工夫」-"第一法規出版(東京) 吉田瑩一郎(編集). 28 (2002)