2004 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚組織構築に関わる遺伝子のヒト疾患における意義とその再生医学的治療法の開発
Project/Area Number |
14370260
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
許 南浩 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70173573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 正博 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90116509)
高石 樹朗 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10303223)
阪口 政清 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70379840)
諸橋 正昭 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50018719)
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Keywords | 皮膚 / 増殖制御 / 分化 / S100 / Ca / 角化 / Hornerin / 幹細胞 |
Research Abstract |
1.ヒト表皮角化細胞の増殖制御機構: 我々は昨年度までに、ヒト表皮角化細胞の増殖を抑制する高CaとTGFβについて、S100C/A11を介する新しい信号伝達経路を見出して報告した。今年度はその研究をさらに発展させ、(1)高Caによる増殖抑制には、Calcineurin-NFAT1を介する経路が必要である、(2)増殖中の細胞内では増殖抑制作用を起こすp21遺伝子のプロモーターにKLF16が結合して遺伝子発現を抑制している、(3)その抑制を解除してp21遺伝子を活性化するには、高Caの場合はCalcineurin-NFAT1とS100C/A11を介する両経路、TGFβの場合にはSmadとS100C/A11を介する両経路からシグナルが伝達される必要があることを明らかにした。 2.角化に関与する遺伝子Hornerinの解析: HornerinはProfilaggrin類似の角化に関与する遺伝子で、我々がマウス皮膚から同定したものである。ヒトのHornerin遺伝子を単離して解析したところ、意外なことに成人の正常駆幹表皮には発現が見られなかった。そこで様々な表皮を検索し、乾癬病変部および創傷治癒過程にある表皮でHornerinの発現が誘導されることを見出した。このことは、Hornerinとprofilaggrinの機能的棲み分けを示唆するものであり、ヒト表皮の角化を理解する上で意義は大きい。 3.マウス皮膚由来幹細胞の単離: 我々は、特殊なゲルを用いてマウス胎児皮膚から200PDL以上安定して増殖する細胞株を単離した。この細胞は未分化上皮細胞のマーカー遺伝子を発現するが、条件によっては神経細胞特異的な遺伝子を発現する。 以上、皮膚構成細胞の増殖・分化動態を遺伝子、細胞レベルで解明し、それを皮膚疾患の病態の理解、再生医学的治療法の開発に役立てるという本研究計画の目標に沿って、大きな進歩があった。
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Research Products
(7 results)