2004 Fiscal Year Annual Research Report
PET製剤を用いた腫瘍・炎症鑑別に関する基礎的研究とその応用
Project/Area Number |
14370265
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中駄 邦博 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00301010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉木 長良 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30171888)
森田 浩一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20210172)
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Keywords | glucose metabolism / positron emission tomography / deoxyglucose / tumor / inflammation / glucose transortor |
Research Abstract |
1.近年、PETシステムが世界中に普及しつつ、国内でも、ブドウ糖の誘導体(FDG)を用いたPET検査が悪性腫瘍の診断、評価などに広くその臨床的有用性が認められている。しかしながら、最近の研究によりFDGは悪性腫瘍のみならず、一部の良性疾患、特に炎症にも集積することが明らかとなり、本検査による腫瘍鑑別診断の限界が指摘され始めている。本研究ではPET検査におけるFDGの腫瘍や炎症への集積機序をブドウ糖代謝及び膜輸送遺伝子の発現などの観点から明らかにすると共に、種々の薬剤負荷を加えることで病変の鑑別診断に役立てることができるか否かを検討した。 2.今までのラットの大腿に植えた腫瘍モデルとブドウ球菌移植の感染性炎症及びテレピン油注入の非感染性炎症モデルに加えて、BCG移植の肉芽腫性炎症モデルを作成し、各々の病変におけるFDG集積を検討し、腫瘍と比較した。BCG肉芽腫ではこれまでの炎症モデルと異なり、腫瘍モデルと同等の高いFDG集積が認められ、腫瘍鑑別に最適な炎症モデルであることが示唆された。 3.ラット肝細胞癌(KDH-8)などの固形癌は常にhypoxia状態に陥る。がん細胞がhypoxia状態に曝されるとhypoxia-inducible factor-1a(HIF-1a)の発現が活性化され、glucose transporterなどの遺伝子の発現を促進し、腫瘍内局所へのFDG不均一分布を引き起こす一因となることが示された。 4.腫瘍と炎症の鑑別の目的でステロイドホルモンを前投与すると、腫瘍へのFDG集積が著明に抑制されたのに対し、腫瘍へのFDG集積の低下はごく軽度であった。このことからこの負荷法がFDG-PET検査における腫瘍と炎症の鑑別に役立つ可能性が示唆された。また臨床で頻繁に利用されているステロイド治療はFDGを用いた腫瘍診断に大きな妨げにならないことも確認できた。
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Research Products
(6 results)