2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳内神経変性疾患の早期検出を可能にする新規放射性診断薬の開発に関する研究
Project/Area Number |
14370273
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川井 恵一 金沢大学, 医学部, 教授 (30204663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 教授 (20209399)
石田 康 宮崎大学, 医学部, 教授 (20212897)
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Keywords | 脳内神経変性疾患 / 早期検出 / パーキンソン病モデルラット / ドーパミン神経機能 / ドーパミンレセプター / アミノ酸膜輸送 / ドーパ脱炭酸酵素 / 画像診断 |
Research Abstract |
近年、精神疾患や痴呆等の脳内神経変性疾患の早期検出が望まれており、そのためには、神経変性過程において、神経細胞のどの機能変化が先行指標となり得るか、即ち変性過程の早期に変化し、発症に至る神経細胞の機能変化は何かを明らかにする必要がある。本研究では、脳内神経変性疾患モデル動物による発症過程において、神経機能との関わりが深い放射性診断薬を用いてその機能変化を評価し、病態発症との相関を検討した。 パーキンソン病の早期診断を目的とし、6-ニドロキシドーパミンによる偏側神経破壊パーキンソン病モデルラットを用いて、発症過程にみられる脳内ドーパミン神経機能変化を、ドーパミンレセプターリガンドや、ドーパミンの前駆物質であるドーパ誘導体等のPET製剤投与により解析し、画像化した。その結果、大脳皮質や小脳では、無処置側に対する処置側の集積比に顕著な変化は認められなかった。線条体における集積は、D1レセプターは急性期には変化せず、発症期に微増した。D2レセプターでは急性期から顕著な増加がみられ、発症期にはさらに増加した。ドーパミン動態では急性期に低下し、発症期に回復傾向が認められた。これらの変化は、行動薬理試験や免疫染色の結果とも相関しており、発症過程の先行指標になり得ると考えられた。 また、SPECTへの応用を計画し、我々がこれまでに開発したアミノ酸膜輸送機能診断薬や、ドーパ脱炭酸酵素活性を反映するアミノ酸誘導体を母体構造とした新規放射性ヨウ素標識薬剤を用いて同様に評価した。ドーパ脱炭酸酵素活性では個体間の差が大きかったが、アミノ酸膜輸送機能、ドーパ脱炭酸酵素機能ともに、発症期に低下する傾向がみられた。特にドーパ脱炭酸酵素活性では急性期より低下する傾向が認められ、早期診断への応用が期待された。 以上より、特にPET製剤による画像化において、処置後早期より神経機能変化を検出し得たことから、これらを指標としたパーキンソン病の早期画像診断の可能性が示唆された。
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Research Products
(13 results)