2004 Fiscal Year Annual Research Report
PETによる気分障害患者の病態と治療法の作用機序に関する研究
Project/Area Number |
14370296
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
須原 哲也 独立行政法人放射線医学総合研究所, 脳機能イメージング研究開発推進室, 研究員 (90216490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 義朗 日本医科大学, 精神医学教室, 教授 (20213663)
中山 和彦 東京慈恵会医科大学, 大学院・精神医学講座, 助教授 (70155878)
鈴木 和年 独立行政法人放射線医学総合研究所, 画像医学部放射薬剤製造開発室, 研究員 (90162932)
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Keywords | 抗うつ薬 / Positron emission tomography / 大うつ病 / セロトニントランスポーター / 占有率 |
Research Abstract |
抗うつ薬をはじめ、多くの向精神薬は脳内の受容体やトランスポーターなどに高い親和性を持ち、その受容体やトランスポーターに結合し、その薬理作用を発揮している。そのような向精神薬の受容体やトランスポーターでの動態を生体内で検討することは薬物の作用機序の解明や用量用法を決定する際に重要である。本研究ではうつ病の薬物治療に主に用いられるSSRIの一つであるフルボキサミンによるセロトニントランスポーター占有率の経時的変化に関してPETを用いて検討を行った。また、セロトニントランスポーター占有率の経時的変化をセロトニントランスポーター親和性特性(ED50値;占有率が50%を呈する値)と血中濃度の経時変化をパラメーターとしてセロトニントランスポーター占有率の経時的変化をシミュレーションし、実測値との相関を検討した。 本研究では健常男性6名を対象とし、セロトニントランスポーターのリガンドである[^<11>C]DASBを用いてフルボキサミン服用前およびフルボキサミン50mg単回服薬後5時間後、26時間後、53時間後にPET検査を施行した。服薬後のPET検査前にフルボキサミン血中濃度の測定を施行した。視床などに関心領域を設定し、小脳を参照領域としてMultilinear reference tissue model 2法を用いて結合能を算出した。服薬前後の結合能の差を用いてセロトニントランスポーター占有率を算出した。フルボキサミンによるセロトニントランスポーターの平均占有率は5時間後で約75%、26時間後で約50%、53時間後で約25%であった。セロトニントランスポーター親和性特性(ED50値;占有率が50%になる値)と血中濃度の経時変化をパラメーターとしてセロトニントランスポーター占有率の経時的変化をシミュレーションしたところ、実測値と良く相関した。 抗うつ薬の用量用法の決定の際には血中濃度のみならず、脳内セロトニントランスポーター占有率の経時的変化の検討が重要な指標を与えると考えられた。
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Research Products
(3 results)