2002 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の増殖・分化・細胞死における複合糖脂質の遺伝子レベルでの機能解析と応用
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14370310
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齋藤 政樹 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60012762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 恵子 明治薬科大学, 薬学部, 助手 (90312074)
菱沼 滋 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (70211505)
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Keywords | ガングリオシド(GM3) / 糖転移酵素遺伝子 / シアル酸転移酵素 / 細胞増殖・分化制御 / 複合糖鎖分子(スフィンゴ糖脂質) / GM3合成酵素欠損マウス / 膀胱がん遺伝子治療 / 造血幹細胞維持性膜蛋白因子 |
Research Abstract |
平成14年度は、以下の諸点を明らかにした:(1)昨年度までの研究成果の情報をもとに、造血系細胞について、ガングリオシドGM3合成酵素(SAT-I)遺伝子構造の特性と発現制御・発現特性を解析した。造血系K-562細胞(ヒト白血病細胞)を宿主に用い、段階的欠失変異クローンを作製しプロモーター活性を測定した。欠失箇所に応じたプロモーター活性を示し、-1926〜-1457・-285〜+75の2領域に正の転写調節に働くシス因子が存在した。転写開始点近傍(-285〜+75)にはTATA配列は存在せず、GC含量は82%に達し、3ケ所のSp1、それぞれ1ケ所のTCF11・AP-2・NFY・Egr-3結合部位が存在した。転写開始点から2番目のSp1部位が正の写調節に特に重要である事が判明した。転写開始点近傍(-101〜+75)域に細小プロモーター活性があることが明らかになった。SK-N-MC(ニューロブラストーマ)細胞でも同様な結果が得られ、造血系の特異性は見出されなかった。(2)造血幹細胞(hematopoietic stem cell)の維持・増殖を目的に、ストローマ細胞の産生する増殖因子・接着因子を解析した。ストローマ細胞cDNAライブラリーを作成して未知の造血関連遺伝子を網羅的に解析したところ、表面膜構成因子の一つである膜蛋白分子が造血幹細胞維持に極めて重要な役割を担っていることが明らかになった。(3)ガンダリオシドGM3が集簇したGM3-enriched microdomain粒子が細内に形成されて細胞表面へ移動し、さらに細胞外へ粒子状態で放出される現象が造血系細胞K562においても、免疫蛍光染色法、共焦点レーザー顕微鏡下並びに電子顕微鏡的に認められた。(4)マウスのラムダ遺伝子ライブラリーからマウスSAT-I cDNAをプローブにしてSAT-I遺伝子をクローニングし、Southern Hybridizationによって、得られたクローンの制限酵素地図の作成と遺伝子構造を明らかにした。Exon2を含むクローンの制限酵素地図を作製、ターゲッティングベクターを構築して、ES細胞に導入しクローン化した。単離したESクローンについてキメラマウスを作成し、さらにヘテロ型マウスの作出に成功した。現在、10数匹のヘテロ型マウスからホモマウスの作成を試みている。また、SAT-I遺伝子のdouble allele欠損のES細胞の作成に成功し、複合糖脂質糖鎖の機能など、その性格付けを進めている。(5)新しい膀胱癌治療法として、SAT-I遺伝子導入法によるガングリオシドGM3過剰発現系を考案した。このGM3過剰発現を呈する膀胱がん細胞MBT-2-SAT-Iでは、細胞増殖能、運動性、浸潤性並びにSyngeneic Miceのおける造腫瘍性(xenograft tumor growth)が著明に低下していた。アポトーシスの顕著な誘導が制癌作用の本体であることが判明し、膀胱がん遺伝子治療への実用化を目指している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tagami, S., Saito, M., et al.: "Ganglioside GM3 participates in the pathological conditions of insulin resistance."J. Biol. Chem.. 277. 3085-3092 (2002)
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[Publications] Mita, M., Saito, M., et al.: "Membrane depolarization-induced contraction of rat caudal arterial smooth muscle involves Rho-associated kinase."Biochem. J.. 364. 431-440 (2002)
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[Publications] Huang, J., Saito, M., et al.: "Differential regulation of cell migration, actin stress fiber organization and cell transformation by functional domains of Crk-associated substrate (Cas)"J. Biol. Chem.. 277. 27265-27272 (2002)
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[Publications] Miyake, I., Saito, M., et al.: "Activation of anaplastic lymphoma kinase is responsible for hyper-phosphorylation of ShcC in neuroblastoma cell lines."Oncogene. 21. 5823-5834 (2002)
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[Publications] Watanabe, R., Saito, M., et al.: "Ganglioside GM3 overexpression Induces Apoptosis and Reduces Malignant Potential in Murine Bladder Cancer."Cancer Res.. 62. 3850-3854 (2002)