2004 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の増殖・分化・細胞死における複合糖脂質の遺伝子レベルでの機能解析と応用
Project/Area Number |
14370310
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齋藤 政樹 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60012762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱沼 滋 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (70211505)
新井 恵子 明治薬科大学, 薬学部, 助手 (90312074)
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Keywords | ガングリオシド(GM3) / シスエレメント / GM3合成シアル酸転位酵素 / 造血細胞増殖・分化制御 / 骨髄間質(ストローマ)細胞 / GM3合成素欠損マウス / ミクロドメイン / 造血幹細胞維持性膜蛋白因子mKirre |
Research Abstract |
平成16年度は、以下の諸点を明らかにした: 1.ガングリオシドGM3合成酵素欠損マウスの作成を目指し、昨年度までにキメラマウスの作成、さらにヘテロ型マウスの作出に成功したので、引き続きホモノックアウト・マウスを作出を試み成功した。このマウスの出生時に外見的異常はなく、成長曲線も10ヵ月齢まで異常を認めず、主要臓器に病理学的異常を認めなかったが、全ての臓器にガングリオシドGM3が完全欠損しGM3を前駆体とするa-シリーズ、b-シリーズの高級ガングリオシドの含量も著明に低下していた。現在、本ノックアウトマウスの神経可塑性や神経毒素(ボツリヌスなど)受容体に関する実験を進めている。 2.造血幹細胞及び間質細胞について、ガングリオシドGM3合成酵素遺伝子構造の特性と発現制御を解析、造血系における発現特性を解析した。FISH法にて本酵素遺伝子の染色体上の局在2p11.2を決定し、BACクローンからゲノム構造の解析を進めた。シス領域の特定を行い、レポーター遺伝子ルシフェラーゼの発現を指標として転写活性を測定しシスエレメントの有効性を評価したところ、組織特異性、特に造血系特異性シス領域は見出されなかったが、転写開始点近傍(-101〜+70)域に最小プロモーター活性があることが判明した。この領域にTATA・CAAT配列は存在せずGC含量は82%に達していた。更に2ケ所のSp1結合部位を同定、これらの欠失或いは部位特異的変異はプロモーター活性を抑制した。また、TPA処理による巨核球様細胞への分化に伴いGM3合成酵素活性は著明に増加したが、これはシス因子非依存性であることが示唆された。 3.造血幹細胞の維持・増殖を目的に、ストローマ細胞の産生する増殖因子・接着因子を解析、cDNAライブラリーを作成して未知の造血関連遺伝子を探索し、造血支持能を有する膜型糖蛋白分子mKirre/NEPH2を発見した。 4.シアロ糖脂質ガングリオシドGM3が集ぞくしたGM3-enrichedミクロドメイン粒子が細胞内に形成されて細胞表面へ移動、さらに細胞外へ粒子状態で放出される現象が造血系細胞においても認められた。免疫蛍光染色法、共焦点レーザー顕微鏡下並びに電子顕微鏡的に探索した。ガングリオシドGM3発現細胞で観察されたfilopodia形成と癌遺伝子産物c-srcのraftsへの集積促進が造血系細胞でも認められた。
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Research Products
(2 results)