2002 Fiscal Year Annual Research Report
ドプラ心弁信号と血管壁微小変位のデジタル解析を用いたヒト胎児循環機能評価法の開発
Project/Area Number |
14370322
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 昌司 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (00225947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中並 尚幸 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (50343322)
月森 清巳 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (90253450)
中野 仁雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40038766)
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Keywords | ヒト胎児 / 下行大動脈 / 脈波 / 心機能 / 脈圧 / 心循環不全 |
Research Abstract |
[目的] エコートラッキング法を用いて正常胎児における下行大動脈の脈波波形を記録し、脈波成分の妊娠進行に伴った変化を明らかにすること、ならびに胎児心機能評価法として、胎児下行大動脈における脈波波形測定の有用性を検討することを目的とした。[方法] 妊娠20〜41週の225例を対象にエコートラッキング法を用いて脈波を記録し、その際にFractional Shortening (FS)値ならびにPreload Index (PLI)値を計測した。胎児心形態異常、不整脈および胎児水腫のいずれかを認めた症例を疾病胎児とした。おのおのの症例で、エコートラッキング法を用いて横隔膜レベルにおける下行大動脈の脈波波形を記録し、最大血管径(PSD)、最小血管径(EDD)、血管径変位値(Amp)、血管径変化率(Amp:EDD ratio)を算出し、1)正常例に対して、測定したPSD、EDD、AmpおよびAmp:EDD ratioから妊娠20週以降2週毎にmean、-2SDおよび+2SD値を算出し、妊娠週数の進行にともなうノモグラムを作成した。2)胎児心疾患合併症例19例をFS≦20%あるいはPLl≧0.50を示した心機能低下群と、正常値を示した正常群との2群に分け、PSD、EDD、AmpおよびAmp:EDD ratioを正常胎児より得られたノモグラムと比較検討した。[結果] 正常胎児では、妊娠20週以降、妊娠週数の進行に伴ない下行大動脈のPSD、EDDおよびAmpはそれぞれ直線的に増加すること、またAmp:EDD ratioは直線的に減少することが分かった。胎児心疾患合併症例19例中、PSDで3例、EDDで2例、Ampで8例ならびにAmp:EDD ratioで6例がmean-2SD以下の値を示した。疾病胎児19例中、心機能低下群は正常群に比し、AmpならびにAmp:EDD ratioが低値である頻度が有意に高かった。さらに、心機能低下群の7例は、全例がAmpならびにAmp:EDD ratioが正常胎児のmean-2SD値以下であった。[結論] 妊娠20週以降の正常胎児におけるPSD、EDD、AmpならびにAmp:EDD ratioの妊娠週数の進行に伴う変化が明らかになった。また、本測定系を用いた胎児下行大動脈Amp:EDD ratioの測定は子宮内での胎児心機能低下を抽出するのに有用であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)