2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳の発達・機能に及ぼす甲状腺ホルモン作用の分子機構の解明
Project/Area Number |
14370324
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80174308)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
高岸 芳子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50024659)
加納 安彦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50252292)
鍋島 俊隆 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70076751)
|
Keywords | 甲状腺ホルモン / ZAKI-4 / ノックアウトマウス / カルシニューリン / 相同組換え / 免疫組織化学 / 脳 |
Research Abstract |
我々がZAKI-4と命名した遺伝子は、甲状腺ホルモン応答性遺伝子として同定されたものである。最近、ZAKI-4遺伝子がコードする蛋白、すなわちZAKI-4蛋白が脳の発達や機能に重要な役割を果たしているカルシニューリンの活性を阻害することがin vitroで示された。そこで本研究では、ZAKI-4遺伝子のノックアウトマウスを作製し、生体におけるZAKI-4蛋白の機能を明らかにするとともに、脳の発達・機能に及ぼす甲状腺ホルモン作用機序を解明することを目的としている。 平成15年度では以下のような成果が得られた。 1.ZAKI-4遺伝子ノックアウトマウスの作製 ZAKI-4遺伝子からは選択的スプライシングによりαとβの二つのアイソフォームが産生される。このうち脳と心臓のどちらでも強く発現しているZAKI-4βをノックアウトすべくターゲティングベクターを構築し、相同組換えによりZAKI-4遺伝子の一部がターゲット遺伝子に置換されたTT2細胞をICRマウスの8細胞期に注入し、ICRの偽妊娠マウスに移植した。その結果、キメラ率の非常に高い雄キメラマウス数匹を得ることができた。しかしながら、これらのマウスの生殖細胞には置換された遺伝子は含まれていなかった。そこで、生殖細胞への移行率が高いことが確認されているES細胞を新に入手し、相同組換えを行っているところである。 2.ZAKI-4蛋白の脳内分布(カルシニューリンの分布との比較) 我々は、ZAKI-4αおよびβ蛋白をともに認識する抗体の作製に成功した。この抗体を用いて、脳におけるZAKI-4蛋白の分布をカルシニューリンの分布と比較検討すると、海馬、大脳皮質(II III層)、中脳、および小脳の分子層で分布が一致していた。(Neuroscienceに投稿準備中) 3.ZAKI-4アイソフォームmRNA発現におよぼす甲状腺機能の影響 我々は昨年度、ZAKI-4αmRNAの発現は甲状腺ホルモン(T3)で促進されるもののZAKI-4βmRNAの発現はT3により調節されていないことをin vitroで示した。そこで、ZAKI-4α、βmRNAの生体内で甲状腺機能によりどのような影響を受けるかをマウスを用いて検討した。その結果、脳ではZAKI-4αmRNAの発現が機能低下症で減少するものの、ZAKI-4βmRNAの発現は影響を受けないことが示された。一方、心臓ではZAKI-4βmRNAの発現が甲状腺機能亢進症で増加したことから、甲状腺機能はZAKI-4遺伝子の発現にアイソフォーム特異的、臓器特異的に影響することが示された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Y.Mizuno, Y.Kanou, M.Rogatcheva, T.Imai, S.Refotoff, H.Seo, Y.Murata: "Genomic organization of mouse ZAKI-4 gene that encodes ZAKI-4 α and β isoforms, endogenous clacineurin inhibitors, and changes in the expression of these isoforms by thyroid hormone in adult mouse brain and heart"European Journal of Endocrinology. 150(in press). (2004)
-
[Publications] X.Cao, H.Seo: "Thyroid hormone-dependent regulation of ZAKI-4α an inhibitor of calcineurin, and its implication in brain development and function"Current opinion in Endocrinology & Metabolism. 10. 1-7 (2003)
-
[Publications] P.Sadow, E.Koo, 0.Chassande, K.Gauthier, J.Samarut, J.Xu, B.W.O'Malley, H.Seo, Y.Murata, R.E.Weiss: "Thyroid hormone receptor-specific interactions with steroid receptor coactivator-1 in the pituitary"Molecular Endocrinology. 17. 882-894 (2003)