2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペプチドホルモン"グレリン"による生体機能調節機序の解明
Project/Area Number |
14370331
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
児島 将康 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 賢治 国立循環器病センター, 生化学部, 部長(研究職) (00112417)
西 芳寛 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (20352122)
|
Keywords | グレリン / 肥満 / プラダー・ヴィリー症候群 / 過食 |
Research Abstract |
1)ヒト胃からのペプチド抽出画分には複数のグレリン分子フォームが存在した。これらはC末端部分のプロセシングサイトであるArgが欠けたペプチド長の違うものと、脂肪酸修飾基の違いによるものとに分類された。これらの違いによって少なくとも5種類以上のグレリン分子型が存在することが明らかとなり、そのうち5種類を精製・構造決定した。これらの分子型の活性はほとんど同じで、グレリンの活性部位がN末端部分であることを考えると、C末端部分の活性発現への寄与は少ないと考えた。 2)胃の摘出手術によって血中グレリン濃度は約半分に減少することがわかった。術後、血中グレリン濃度は次第に増加していくが、術前の7〜8割までしか回復しない。このことから胃のグレリン産生への寄与は約50%であり、胃摘出によって腸管や膵臓から代償的にグレリン産生分泌が増えるものと考えられた。 3)遺伝子異常が原因のプラダーヴィリー症候群患者(PWS)は摂食亢進・肥満を示す。PWS患者での血中グレリン濃度の変化を調べた。PWSでは血中グレリン濃度の著しい増加が認められた。このグレリン濃度上昇はPWS患者が過食を示す前から増加していた。 4)非哺乳類のグレリン精製と構造解析 両生類、鳥類、魚類のグレリンの構造を明らかにした。その結果、グレリンはほ乳類にだけ存在するのではなく、脊椎動物一般に広く存在することがわかった。また脂肪酸による修飾基も、ほ乳類グレリンに特有のものではなく、両生類、鳥類、魚類のグレリンでも認められる。このことからグレリンは進化の過程においてもずっと保存され、生体にとって必須の生理活性ペプチドであると考えられた。 5)グレリン・ノックアウト・マウスの作製を行い、ホモ欠損マウスを得た。現在その表現型を解析している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] H.Kaiya et al.: "Peptide purification, complementary deoxyribonucleic acid (DNA) and genomic DNA cloning, and functional characterization of ghrelin in rainbow trout"Endocrinology. 144. 5215-5226 (2003)
-
[Publications] H.Kaiya et al.: "Amidated fish ghrelin : purification, cDNA cloning in the Japanese eel and its biological activity"Journal of Endocrinology. 176. 415-423 (2003)
-
[Publications] K.Choi et al.: "The role of ghrelin and growth hormone secretagogues receptor on rat adipogenesis"Endocrinology. 144. 754-759 (2003)
-
[Publications] H.Hosoda et al.: "Structural divergence of human ghrelin. Identification of multiple ghrelin-derived molecules produced by post-translational processing"Journal of Biological Chemistry. 278. 64-70 (2003)
-
[Publications] K.Nakahara et al.: "Effect of chronic treatments with ghrelin on milk secretion in lactating rats"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 303. 751-755 (2003)
-
[Publications] K.Tanaka et al.: "Ghrelin is involved in the decidualization of human endometrial stromal cells"J Clin Endocrinol Metab. 88. 2335-2340 (2003)