2003 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンおよび運動による糖取り込み促進機構と糖尿病における障害の分子メカニズム
Project/Area Number |
14370334
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 知一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70242063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤城 緑 東京大学, 医学部附属病院, 医員
荻原 健英 東京大学, 医学部附属病院, 医員
佃 克則 東京大学, 医学部附属病院, 医員
庄嶋 伸浩 東京大学, 医学部附属病院, 医員
阿部 美穂 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 糖尿病 / インスリン抵抗性 / レジスチン / 糖代謝 |
Research Abstract |
レジスチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンであり、インスリン抵抗性を惹起する他、脂肪細胞の分化を抑制することが報告されている。また、レジスチンと相同生の高い構造を有する蛋白(Resistin-like molecule : RELM)が2種類同定されているが、我々はごく最近、新たなRELMをクローニングすることに成功し、これをRELMγと名付けた。つまり、レジスチン及び関連蛋白としてはマウスには4つのアイソフォームが存在する。 臓器分布としては、レジスチンとRELMαも脂肪組織に最も多く発現しているのに対しRELMβは腸、特に大腸に豊富に発現している。今回、我々が新規にクローニングしたRELMγも腸管に発現が限定されている。つまり、脂肪組織と消化管とは、それぞれ2種類のアイソフォームを分泌しているのである。消化管に発現するRELMβとRELMγは免疫染色によって分布を検討したところ、発現している細胞がかなり共通していた。そのため、この2つのアイソフォームはhomodimerの他、RELMβとRELMγから構成されるheterodimerも形成され、分泌されることが判明した。 興味深いことに、肥満糖尿病モデルのdb/dbマウスの腸管におけるRELMβとRELMγの発現量は正常マウスの10-30%にまで顕著に減少していた。ストレプトゾトシンによる糖尿病マウスでは発現量の変化が見られなかったことより、db/dbマウスにおけるRELMβとRELMγの発現低下は高血糖による影響ではないと考えられよう。むしろ、過食や肥満、高インスリン血症やインスリン抵抗性に関連する変化ではないかと考えられる。いずれにしても、脂肪細胞と異なり、サイズなどの外見的変化のない腸管においてRELMの発現がインスリン抵抗性の糖尿病モデルで顕著に減少していることの病態的意義を考えると興味深い。我々は、腸管から分泌されるRELMβとRELMγが糖代謝やインスリン感受性への調節に関与している可能性を考慮し、これらを発現するアデノウイルスを作製した。これらをマウスに注入し、肝臓に発現させると、筋肉におけるインスリン依存性の糖取り込みが上昇することが明らかとなった。すなわち、肥満モデル動物におけるインスリン抵抗性に、RELMβとRELMγの発現低下が原因の一つとなっている可能性が示唆された訳で、現在、詳細について検討している段階である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ono, H., et al.: "Hepatic Akt Activation Induces Marked Hypoglycemia, Hepatomegaly and Hypertriglyceridemia with SREBP Involvement"Diabetes. 52(12). 2905-2913 (2003)
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[Publications] Sakoda, H., et al.: "Differing roles of Akt and SGK in glucose metabolism, DNA synthesis and oncogenic activity"J.Biol.Chem.. 278(28). 25802-25807 (2003)
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[Publications] Yamamoto, A., et al.: "Suppression of arthritic bone destruction by adenovirus-mediated dominant negative ras gene transfer to synoviocytes and osteoclasts"Arthritis and Rheumatism. 48(9). 2682-2692 (2003)
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[Publications] Shimosawa, T., et al.: "Deficiency of Adrenomedullin Induces Insulin Resistance by Increasing Oxidative Stress"Hypertension. 65(2). 213-217 (2003)
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[Publications] Ogihara, T., et al.: "Contribution of Salt Intake to Insulin Resistance Associated with Hypertension"Life Science. 73(5). 509-523 (2003)
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[Publications] Horike, N., et al.: "Salt-inducible kinase-2 : adipose-specific expression, phosphorylation of Ser-794 in insulin receptor substrate-I, and activation in diabetic animals"J.Biol.Chem.. 278(20). 18440-18447 (2003)
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[Publications] Fujishiro, M., et al.: "The roles of three mitogen-activated protein kinases in insulin resistance"Recent Research Developments in Physiology. 12 (2003)