2002 Fiscal Year Annual Research Report
重症敗血症における酸素代謝改善を目指した酸素運搬体作製に関する実験的検討
Project/Area Number |
14370347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠澤 洋太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30129465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲井 邦彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00291336)
小池 薫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10267164)
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Keywords | 敗血症 / 代謝動態 / 循環動態 / 盲腸結紮穿刺 / 炭酸ガス産生量 |
Research Abstract |
「重症敗血症」モデルを作製し、このモデルにおける代謝動態を検討した。 方法:250〜300gの雄性SDラットを用い、ペントバルビタール40mg/kg腹腔内投与麻酔下にて開腹、盲腸結紮、盲腸穿刺(cecum ligation puncture : CLP)し腹膜炎ラットを作製、「重症敗血症」モデルとした。体温変化、BP MONITOR FOR MICE & RATS(MODEL MK-2000)にて尾動脈血圧・脈拍、動物飼育代謝ケージにてCO2産生量を測定するとともに、このモデルの生存率、生存日数を観察した。また、無処置ラット、麻酔ラット、単開腹(腸管manipulation)ラットの循環・代謝諸量と比較した。 結果:循環・代謝諸量は無処置、麻酔、単開腹、CLPラット(いずれも2時間値)それぞれ以下の通りであった(n=1〜4)。体温:37.3±0.2(SEM)℃、36.3±0.5℃、36.7℃、33.6±1.1℃。収縮期血圧:128±5(SEM)mmHg、120±4、129、105±6。脈拍:524±5(SEM)/分、466±14、508、400±35。CO2産生量:2.23±0.22(SEM)g体重kg/時間、1.94±0.03、1.80、1.24±0.12。CLPラット(n=4)のうち12時間以内にn=2、24時間以内にn=1、36時間以内にn=1が死亡した。24時間CLP生存ラットは24時間の時点で体温36.6℃、収縮期血圧93mmHg、脈拍438/分、CO2産生量1.00g/体重kg/時間であった(単開腹ラットの24時間の時点でのCO2産生量は1.84g/体重kg/時間)。 考察:CLPラットは単開腹ラットに比し、hypodynamicな循環動態を呈し、CO2産生量も低値であった。ヒト腹膜炎で観察されるhyperdynamic stateは作製されなかったが、引き続き輸液・薬剤による循環サポートにてhyperdynamic stateを作製した後かあるいはhypodynamic stateのまま、酸素運搬体SNO-PEG-Hb(ヘモグロビンβ鎖のSH基にs-nitrosylationを行ったヘモグロビン誘導体でNO捕捉、酸素運搬、SNO放出などの作用を有する)を使用し、代謝動態の改善の有無を検討したい。 結語:ラット「重症敗血症」モデルでは循環動態、代謝動態ともにhypodynamicであった。
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