2003 Fiscal Year Annual Research Report
重症敗血症における酸素代謝改善を目指した酸素運搬体作製に関する実験的検討
Project/Area Number |
14370347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠澤 洋太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30129465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲井 邦彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00291336)
小池 薫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10267164)
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Keywords | sepsis / 盲腸結紮穿刺 / 代謝動態 / 炭酸ガス産生量 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
本研究は、NOが多く存在しているsepsisにおいては酸素消費量が低下することを証明すること、NOが多く存在している状況においても末梢組織に酸素を渡しやすいNOとヘモグロビンとの結合を調節された)ヘモグロビンを作成し、これを血液内に投与(混和)することにより高NO状態においても酸素代謝の維持がはかられること、を証明することを目的とした。 【動物と方法】250〜300gの雄性Spraugue-Dowleyラットをペントバルビタール40mg/kg腹腔内投与麻酔下にて開腹、盲腸結紮、盲腸穿刺(18Gの針先にて2カ所を穿刺、CLP : cecum ligation punture)し腹膜炎モデルを作成。モデル作製後、酸素消費量(炭酸ガス産生量)測定可能に装備した代謝ケージに入れ、(1)体温変化、(2)尾動脈収縮期血圧、(3)脈拍、(4)炭酸ガス産生量、を観察無処置ラット、麻酔ラット、単開腹(腸管manupulation)ラットと比較した。 【結果】(1)、(2)、(3)(以上2時間値)は無処置ラット(n=7)、麻酔ラット(n=5)、単開腹ラット(n=5)、CLPラット(n=6)それぞれ、(1)37.4±0.2(SEM)℃、36.3土0.5、36.7±0.8、33.6±1.1、(2)128±4mmHg、120±4、129±7、105±6、(3)515±7/分、466±14、508±25、400±35、(4)は無処置ラットでは2.25±0.15g/体重kg/時間で、麻酔ラット、単開腹ラットCLPラットでは麻酔後0-1時間ではそれぞれ1.12±0.10、1.24±0.15、0.64±0.07、麻酔後1-2時間ではそれぞれ2.06±0.12、2.06±0.10、1.43±0.18であった。 【考察】既報告の文献より敗血症モデルではCLPモデルが臨床に近いと推察されたが、本研究ではCLPラット初期では臨床患者でみられるhyperdynamic stateではなく、単開腹ラットに比しhypodynamicな循環動態を呈し炭酸ガス産生量も低値であった。なお、本年度予算にて腹膜炎ラット右頸動脈にカニュレーションし動脈採血、酸素解離曲線を描かせる「ヘモックスアナライザー」(研究分担者の仲井所蔵)を修理した(→酸素運搬体SNO-PEG-Hb投与の腹膜炎ラットの酸素解離曲線を非投与腹膜炎ラットと比較する)。 【結語】炭酸ガス産生量測定可能に装備した小動物代謝ケージにより、ラット腹膜炎モデルの代謝動態を比較的安定した値で捉えることが可能となった。本装置により当初の目的を達成する道が開かれた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakai K., et al.: "S-nitrosylatedpolyethyleneglycol-conjugatedhemoglobin derivative as a candidate material for oxygen therapeutics"Advances Experimental Medicine and Biology. 519. 207-216 (2003)
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[Publications] 小池薫, 他: "敗血症モデル"日本外科学会雑誌. 104・11. 800-804 (2003)