2003 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植免疫寛容誘導・維持機構の解明および関連新規遺伝子の探索に関する研究
Project/Area Number |
14370367
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梨井 康 国立成育医療センター研究所, 移植・外科研究部, 室長 (60321890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英年 浜松医科大学, 第二解剖講座, 助手 (70242758)
上本 伸二 三重大学, 医学部・第一外科講座, 教授 (40252449)
舟島 直子 国立成育医療センター研究所, 共同研究管理室, 流動研究員
藤野 真之 国立感染症研究所, エイズ研究センター・第二研究グループ, 研究員
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Keywords | 生体肝移植 / 移植免疫 / 免疫寛容 / DNAチップ / 遺伝子 |
Research Abstract |
本年度の研究では、(1)臨床生体肝移植後免疫抑制剤離脱症例の解析:三重大学医学部附属病院ではH14年3月から生体肝移植が開始され、これまでに40人の生体肝移植が行われ、すでに3人が計画的減量を開始している。また、3人に非計画的減量が開始され、1人が免疫抑制剤からの離脱を1年6ヶ月維持しているが、2人は拒絶反応をきたした。免疫抑制剤減量中の患者における新規遺伝子探索研究の申請が行われ、H15年に三重大学医学部倫理委員会から承認され、免疫抑制剤を離脱した患者および減量中の患者からの採血が開始した。(2)DNAチップを用いた解析:京都、三重大学の免疫寛容状態に至った11人の患者、家族および健常人から遺伝子検査を含めたインフォームドコンセントを得た上、血液を採集した。末梢血リンパ球より、それぞれtotal RNAを抽出し、Agilent社のcDNAマイクロアレイを用いて解析を行った。寛容患者と健常人の比較で、「Up Regulation」635クローン、'Down Regulation」として、2005クローンが抽出できた。キーワードを用いて13のカテゴリーに分類した。各カテゴリーごとのUp Regulation数:Down Regulation数は、「Apoptosis」8:5、「Calcium」8:40、「Cell Cycle」5:8、「Chemokine」2:13、「Cytokine」7:20、「Immunity」40:11、「Kinase」18:65、「Membrane」49:109、「Metabolism」9:17、「Phosphatase」11:24、「Receptor」55:213、「Signal Transduction」11:35、「Transcription」20:88であった。分類したカテゴリーのうち「Immunity」のみで、圧倒的にDown数よりUp数のほうが多いという結果を得た。これは、免疫関連の遺伝子が、健常人より免疫寛容状態の人において発現が相対的に上昇しているという事を端的に表しており、能動的作用を以て免疫寛容を誘導する遺伝子の確かな存在を示唆すると考えられ、大変興味深い。また、パスウェイ等を考慮することにより、使用したDNAチップに搭載されていない遺伝子についてまで考察を深めることも可能である。免疫寛容状態に至ったヒトのサンプルは大変貴重であり、このように網羅的に解析できる手技は大変有用であると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Fujino, et al.: "Differences in lymphocyte gene expression between tolerant and syngeneic liver grafted rats"Liver Transpl. 10(3). 379-391 (2004)
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[Publications] L.Guo, et al.: "AdCTLA-4Ig combined with donor splenocytes, bone marrow cells and anti-ICOS antibody treatment result in a distinct tolerant state in rat heart transplantation model"Transpl Int. 17(1). 15-21 (2004)
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[Publications] L Guo, et al.: "Simultaneous Blockade of Co-stimulatory Signals, CD28 and ICOS, Induced a Stable Tolerance in Rat Heart Transplantation"Transpl Immunol. 12(1). 41-48 (2003)
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[Publications] M.Fujino, et al.: "Prolonged survival of rat liver allograft with adenoviral gene transfection of human immunodeficiency virus type 1(HIV-1) nef"Liver Transpl. 9(8). 805-813 (2003)