2004 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植免疫寛容誘導・維持機構の解明および関連新規遺伝子の探索に関する研究
Project/Area Number |
14370367
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梨井 康 国立成育医療センター研究所, 移植・外科研究部, 室長 (60321890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟島 直子 国立成育医療センター研究所, 共同研究管理室, 流動研究員
上本 伸二 三重大学, 医学部第一外科講座, 教授 (40252449)
鈴木 英年 浜松医科大学, 第一外科講座, 研究生
藤野 真之 国立感染症研究所, エイズ研究センター・第二研究グループ, 研究員 (50392329)
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Keywords | 生体肝移植 / 免疫寛容 / 補助シグナル / 遺伝子 / 移植免疫 |
Research Abstract |
本年度の研究では、(1)寛容患者末梢血リンパ球のDNAチップ解析:移植免疫寛容の成立に関わる細胞集団及び関連遺伝子を解析した結果、健常人との比較で免疫制御に関連すると思われる遺伝子が多数発見されている。これらの遺伝子からUp Regulationでは16個、Down Regulationでは20個を、候補遺伝子として選抜した。11人の患者(T群)および健常人(C群)それぞれのTotal RNAよりcDNAを合成し、これらを用いて、上記の選抜された候補遺伝子のうち、CBL、ID3、TNFSF10、SOCS3、Glucocorticoid reseptor-α等について、RT-PCRを行った。同時に行ったGAPDHの発現レベルにて補正を行い、T群とC群の発現レベルの平均を比較検討した結果、SOCS3とGlucocorticoid reseptor-αについて、その発現がC群よりT群において低下している事が確認された。現在他の候補遺伝子についても同様の検討を行っている。(2)補助シグナル経路を選択的の阻害に関する解析:上記DNAチップの解析より、健常人との比較検討では、免疫制御に関連すると思われる遺伝子が多数発見されている。特にリンパ球の活性化に関与する事が知られているco-stimulatory分子群に属する遺伝子が、今まで考えられていた以上に深く関与する事が明らかになった。そこで、抗ICOS抗体及びCTLA4Igを用いて、T細胞増殖に必要不可欠な副刺激シグナルを遮断する事で、ラットの心臓移植において安定かつ強固な免疫寛容が誘導される事を見出した。抗ICOS抗体によりICOS/B7h経路を阻害すると、T細胞の活性化は抑制され免疫反応抑制効果が見られた。しかし、免疫寛容を誘導することはできなかった。一方、CTLA4Igと抗ICOS抗体を併用する事し、CD28-CTLA4/B7経路を介した抗原提示細胞の活性を抑制することにより、安定な免疫寛容状態の誘導および維持ができた。また、寛容ラットの末梢リンパ球を養子移植すると、別の個体に免疫寛容を誘導出来る事を明らかにした。以上の研究で、これらの免疫抑制に関与する分子を発現する免疫担当細胞の機能解析および、免疫制御機能を持つ細胞への分化誘導機構の解明こそが、現在望まれている新たな免疫制御療法確立への次の一歩である。
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Research Products
(6 results)