2002 Fiscal Year Annual Research Report
腸肝循環を担う新規ヒト有機アニオントランスポーター遺伝子の構造と機能の解明
Project/Area Number |
14370371
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 正徳 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (70206530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片寄 友 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20302151)
阿部 高明 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (80292209)
海野 倫明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70282043)
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Keywords | 腸管上皮細胞 / 有機アニオントランスポーター / OATP-E / 胆汁酸 / 甲状腺ホルモン / 蛍光免疫染色 / 腸肝循環 |
Research Abstract |
1)ヒト小腸上皮cDNAライブラリーの作製 ヒト小腸、特に回盲部腸管上皮を手術標本より採取し、poly A RNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAを作製し、lambda ZAPIIベクターに組み込んだ、ヒト小腸上皮DNAライブラリーを作製した。現在ライブラリーを既知のcDNA、ヒトLST-1,LST-2をプローブとしてスクリーニングを行なっている途中である。ヒト腸管上皮の基底膜側にはOATP-Eが発現していることが明らかとなったが(後述)、apical側のナトリウム非依存性トランスポーターはいまだ不明であり、この新規トランスポーターの単離を継続する予定である。 2)ヒトOATP-Eの小腸における発現 ヒトOATP-Eは我々が単離した、胆汁酸・甲状腺ホルモンを輸送する新規有機アニオントランスポーターである。このOATP-Eは様々な臓器で発現していることが知られていたが、腸管の上皮細胞での発現はこれまで明らかにされていなかった。我々はこのOATP-Eに対する抗体を作製しウエスタンブロット、免疫染色を行なった。ウエスタンブロットでは約55kDaの単一バンドとして腸管上皮での発現が確認された。また免疫組織化学法を施行し消化管上皮での細胞内局在を検討したところ、回腸末端粘膜上皮細胞の基底膜上に強い発現が見られた。極性をもつヒト大腸癌由来細胞株Caco-2を用いて同様に免疫組織学的検討を行うと、細胞膜にOATP-Eの発現が見られ、CD13とは共存しないことよりapical側ではなくbasolateral側に局在すると考えられた。以上の結果よりOATP-Eは腸管上皮細胞の基底膜側に局在し、apical側のトランスポーターにより細胞内に輸送された胆汁酸や甲状腺ホルモンを基底膜側から細胞外へと輸送する機能を有していると考えられ、胆汁酸や甲状腺ホルモンの腸肝循環に関与するトランスポーターであることが明らかとなった。
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