2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌症例における末梢血樹状細胞の抗原呈示機能増強法の開発とその臨床応用
Project/Area Number |
14370382
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉山 保幸 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90211309)
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Keywords | 樹状細胞 / 抗原呈示機能 / 消化器癌 / 癌免疫療法 / 活性化リンパ球移入療法 |
Research Abstract |
樹状細胞(dendritic cell:DC)が効率的に特異的キラー活性を有する活性化リンパ球を誘導するための腫瘍抗原補足に際して、p53の発現形式がwild typeの腫瘍細胞では低用量CDDP+5-FU処理が、p53mutant typeの腫瘍細胞では凍結・融解処理が望ましいことが平成16年度までの研究で判明したが、これらの抗原補足時における非特異的免疫賦活剤であるクレスチン(PSK)やレンチナン(LNT)を添加することの有用性に関して基礎的・臨床的な検討を行い、以下の結果を得た。 1)胃癌株化細胞を凍結・融解処理して得られた腫瘍抗原で健常人末梢血単核球を刺激すると、インターフェロン(IFN)-γなど腫瘍免疫においては好都合な環境をもたらすTh1系サイトカインのみならず、抑制的に作用するインターロイキン(IL)-10などのTh2系サイトカインの産生も誘導された。ところが、この培養系にPSKを添加するとTh1系サイトカイン優位の状況がもたらされた。 2)切除不能肝腫瘍に対して、PSKの内服を併用しながら経皮的穿刺法による凍結・融解操作を加える治療を繰り返した結果、治療効果が確認された症例では末梢血におけるTh1/Th2バランスがTh1優位で推移した。 3)単独では細胞傷害作用をもたらさない濃度のCDDPと5-FUを併用接触させるとアポトーシスが高頻度で誘導される胃癌細胞株に対して、さらにLNTを添加するとアポトーシス陽性細胞が著明に増加した。 これらは、末梢血単核球より得られた付着細胞から未成熟樹状細胞や成熟樹状細胞を誘導する際に、非特異的免疫賦活剤を併用することでより高い抗原提示機能を有するDCが得られる可能性を示唆するデータであると考えられた。
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Research Products
(5 results)