2004 Fiscal Year Annual Research Report
肥大・不全心における不整脈源性チャネルのリモデリングとその分子機構
Project/Area Number |
14370404
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川野 誠子 国立大学法人東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00177718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 裕司 国立大学法人東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00181181)
中山 仁 国立大学法人熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70088863)
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Keywords | イオンチャネル / 遺伝子異常 / HERG / KCNQ1 / Long QT症候群 / チャネル輸送 / 致死性不整脈 |
Research Abstract |
細胞膜のイオンチャネルは心臓の機能に重要な働きをしているが、肥大心や心不全などの病態時にはこれらのイオンチャネルのリモデリングが起こり、致死性不整脈の成因として注目されている。本研究ではこのようなチャネルのリモデリングの分子機構を解明することを目的とし、心筋の活動電位波形を形成する各種イオンチャネルの調節機構が病態時にどのように変化を受け不整脈の原因になっているかを検討した。本年度は特に活動電位の再分極相形成に重要な役割を果たすKチャネルのうちI_<KR>をコードするhuman-a-go-go related gene(HERG)チャネルに注目しその調節機構を検討した。HERGチャネルのC末端側の機能を明らかにするためにHERGの変異株を作りHEK-293細胞に発現させてパッチクランプ法による膜電流記録、コンフォーカル顕微鏡による検討を行った。112fs/147変異株のみを発現した細胞では電流は記録できなかったが、WTとの共発現により、I_<KR>電流は記録でき、その電位依存性、時間依存性の性質に変化が認められた。コンフォーカル顕微鏡による免疫染色では変異株HERGではチャネル蛋白の細胞膜への移動が抑制されていることが判明した。以上の結果より、HERGチャネルのC末端の異常はチャネルの細胞膜への移動が抑制され電流量が減少し、その結果活動電位波形の再分極相に異常が生じ、不整脈の原因になると考えられた。また我々は遺伝性致死性不整脈であるLong QT症候群(LQTS)の原因遺伝子のひとつであるKCNQ1チャネルの新しい変異株を発見し、その機能についての検討も行った。Ala178fs/105-KCNQ1の機能発現実験及びコンフォーカル顕微鏡による免疫染色による検討の結果、この変異株ではチャネル蛋白が細胞内に留まり細胞膜への移送が抑制され、チャネル電流の抑制を来たしていることが判明した。 以上の結果より、チャネルの遺伝子異常、機能異常の原因としてチャネル蛋白の膜輸送障害の寄与が大きいことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)