2002 Fiscal Year Annual Research Report
静脈グラフト早期リモデリングに対する抗血栓性強化の遺伝子治療
Project/Area Number |
14370405
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田渕 典之 東京医科歯科大学, 医学部付属病院, 講師 (90282748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 高敏 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 助教授 (20234916)
七里 直義 東京医科歯科大学, 医学部付属病院, 助教授 (10206097)
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Keywords | 遺伝子治療 / 静脈グラフト / トロンボジュリン / ACバイパス手術 |
Research Abstract |
本年度の第一段階として、トランスフェリンを含むリポゾーム・トロンボモジュリン(TM)-DNA複合体を作成して人の培養内皮細胞に遺伝子導入を試み、免疫染色により強くTM発現が確認された。次の段階として、in-vivo環境下でラットの下大静脈への遺伝子導入効率を検討した。作成した独自のモデルは、ラットの腎静脈分枝下の下大静脈を静脈グラフトに見立てて、開腹後に下大静脈近位側と遠位側にテーピングし、一時的な血流遮断を可能にした。左腎静脈からは下大静脈までカニュレを進めて留置し、遺伝子複合体の静注に利用した。いろいろな条件で遺伝子導入を試みた結果、血液希釈後30分血流遮断の条件で遺伝子導入を行うと、最も高い発現効率が得られることが判明した。導入効率の検討は導入二日後に下大静脈を採取し、WesternBlot法によるTM蛋白発現と、TM-mRNAについてPCR法を用いて判定した。本年度の最終段階として、上記の手技でTM遺伝子導入したラットの下大静脈を導入2日後に取り出しex-vivoの動脈圧循環装置に接続して、強いTM発現がグラフトの抗血栓性維持に効果があるか否かを判定した。動脈循環回路では、血圧70mmHgで希釈血液を90分モーターで循環させた。対照群として遺伝子導入しない静脈グラフトを用いると、90分の動脈循環でトロンボモジュリンの活性を殆ど失った。対照的に遺伝子導入後の静脈では、トロンボモジュリンによるプロテインC活性化能は動脈循環中も維持され、静脈壁に付着したトロンビン活性も抑制できた。現在、個体数を増やして確実な統計処理を行えるように実験を遂行しながら、学会発表と論文製作の準備を行っている。また、来年度の課題としては、一時血流遮断なしで遺伝子導入効率を高める手法の検討と、本遺伝子導入法は静脈グラフトの内膜肥厚にも抑制効果があるかについても検討したいと考えている。
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