2003 Fiscal Year Annual Research Report
補助循環からの離脱率向上を目指した重症心不全への心筋再生療法併用に関する研究
Project/Area Number |
14370422
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
武輪 能明 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (20332405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 副所長 (60028595)
本間 章彦 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (20287428)
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Keywords | 補助人工心臓 / 補助循環療法 / 再生治療 / 肝細胞増殖因子 / 心筋梗塞 / 左室リモデリング / 重症心不全 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
本研究の目的は、補助人工心臓による循環補助療法と再生型治療を融合させた治療手段の有用性について検討すること,である。本年度は、急性心筋梗塞後重症不全心に対する補助循環下血管新生療法について実験を施行した。 成山羊(体重60〜70kg)を用いて全身麻酔下に冠状動脈左前下行枝結紮による広範囲前壁急性心筋梗塞を発症させ、重症心不全モデルを作成した。拍動型補助人工心臓を装着して両心補助にて循環を維持し、心筋賦活化因子である肝細胞増殖因子(HGF)を封入したplasmidを、直接心筋に複数箇所注射し遺伝子導入した(HGF群)。一方、対照として、補助人工心臓装着のみでHGF導入を行わない群(Control群)を作成した。麻酔覚醒後、経時的に局所心機能の改善効果を評価し、4週間後に組織学的に遺伝子導入による心筋の血管新生効果,抗線維化効果を評価した。 成山羊13頭(HGF遺伝子導入群7例、Control群6例)に実験を行い、HGF遺伝子導入例4例、Control例3例で最終の4週間まで検討を行い得た。遺伝子導入後4週目、補助人工心臓停止時の心機能はHGF群がControl群に比べて左室内径短縮率(FS)(36±0.8% vs.24±0.6%)において良好であった。拡張期左室内径LVDdも(34±2mm vs.46±2mm)と、HGF群がControl群に比べて良好であった。また、補助循環離脱後の血行動態もHGF群がControl群に比べて心拍出量、左房圧、において良好であった。4週後の心筋の組織学的検討では、左室前壁の梗塞領域は、壁の菲薄化及び壊死性変化を両群ともに認めた。しかし、左室内腔の拡大はHGF群でControl群に比して、明らかに抑えられており、梗塞領域と正常領域の境界部において、線維化の拡大および、心筋細胞の肥大性変化はHGF群でControl群に比して、明らかに抑えられていた。 以上より、補助循環とHGF遺伝子導入を併用することで、補助循環単独より心筋梗塞後の左室リモデリングが抑制され、心機能の改善も良好となる傾向にあった。
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