2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370441
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
寶金 清博 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90229146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 光宏 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (10241316)
時野 隆至 札幌医科大学, 医学部・附属がん研究所, 教授 (40202197)
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Keywords | もやもや病 / 遺伝子解析 / サイトカイン |
Research Abstract |
1、もやもや病遺伝子同定の問題点の整理 これまでの研究により、本症の原因遺伝子は第3、第6、第8、第12、そして第17染色体q25の領域に存在することを明らかにしてきた。しかし、これまで、positional cloningにより原因遺伝子が探索できたのは、Huntington病などのような単一遺伝子疾患である。もやもや病のような多因子遺伝や浸透率の低い常染色体優性遺伝が想定される疾患において、この手法では、原因遺伝子の絞込みの成功に至った例はなく、方法論上の問題が示唆された。 こうした研究上の問題点を明らかにし、その総説を主要な学術誌(脳神経外科)に発表してきた。microsatellite markerを用いた絞込みはその分布の頻度からこれ以上の絞込みを行うことが困難であること。今後は、例えば、SNPs(Single nucleotide polymorphisms)などより高頻度に存在するmarkerを用いる必要があることなどを概説した。 2、脳脊髄液中サイトカインの測定 一方で、原因物質に関しては、手術時に得られた髄液のサイトカイン測定を行ってきた。その結果、多数例の患者脳脊髄液中のb-FGFの高値が再確認され、さらにAngiopoietin 2の有意な変動がはじめて確認された。特に、2回目の手術時に前回より高い値が見られ、これは、血管新生と関連している可能性が示唆された。 3、新治療法の検討 この研究の過程で上記のよういくつかのサイトカインが血管新生に関与している可能性が示唆された。これをもやもや病の新しい治療に応用するために、動物モデル(ラットの中大脳動脈閉塞)に対して、脳内にサイトカインを導入して血管新生がどの程度起こるかを検討している。使用しているのは、Angiopoietin 1遺伝子をwild typeのAdeno Virusに導入し、これをラット虚血脳に直接注入する方法であり、すでに、コントロール群に比べ、有意な血管新生が確認されている。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 宝金清博, 本望 修, 備前明子: "モヤモヤ病患者の脳脊髄液サイトカイン値と新治療法の検討"厚生省もやもや病研究班平成15年度報告書. (印刷中). (2004)
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[Publications] 難波理奈, 黒田 敏, 石川達哉, 多田光宏, 宝金清博, 岩崎喜信: "家族性もやもや病における17q25のtriplet repeatの伸張に関する研究"厚生省もやもや病研究班平成15年度報告書. (印刷中). (2004)
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[Publications] 宝金清博: "モヤモヤ病"臨床医-これだけは知っておきたい臨床医の画像診断-. 29(増刊号). 710-711 (2003)
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[Publications] 宝金清博: "もやもや病に対する直接的血行再建術"脳外誌. 12. 301 (2003)
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[Publications] 宝金清博: "モヤモヤ病に対する血行再建術"脳神経外科速報. 13. 247-252 (2003)
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[Publications] 黒田 敏, 中山若樹, 難波理奈, 七戸秀夫, 石川達哉, 鈴木明文, 西野晶子, 宝金清博, 峰松一夫: "もやもや病の診断・治療に関する現状と今後の展望"脳卒中. 25. 215-229 (2003)
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[Publications] Qiao F, Kuroda S, Kamada K, Houkin K, Iwasaki Y: "Source localization of the re-build up phenomenon in pediatric moyamoya disease a dipole distribution analysis using MEG and SPECT"Childs Nerv Syst. 19. 760-764 (2003)
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[Publications] Houkin K: "Pitfalls in cerebral revascularization surgery"International Congress Series. 1259. 313-320 (2004)
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[Publications] 難波理奈, 黒田 敏, 石川達哉, 多田光宏, 宝金清博, 岩崎喜信: "家族性もやもや病の臨床像と最近の研究の動向"脳外. 32. 7-16 (2004)
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[Publications] Houkin K, Kuroda S: "Textbook of Neurological Surgery"Lippincott. 1212 (2003)