2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高磁場MRI拡散テンソル画像による脳卒中後高次脳機能低下メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
14370445
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
小川 彰 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10204067)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 敬 岩手医科大学, 医学部, 助手 (70326651)
小笠原 邦昭 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (00305989)
|
Keywords | MRI / 拡散テンソル / 高次脳機能 / 脳神経外科手術 / 脳卒中 |
Research Abstract |
近年我が国では医療の進歩とともに脳血管障害による死亡率は一定の抑制を見たが、社会の高齢化に伴いいわゆる脳卒中後の寝たきり患者の増加が社会問題化している。また寝たきりとならずとも脳卒中後、記憶障害・巧緻運動障害等を来たし要介護状態となることもしばしば経験される。しかし四肢麻痺等の発生メカニズムに比べ、高次脳機能低下のメカニズムは未だ明確ではなかった。 本研究においては、脳卒中後高次脳機能低下メカニズムの解明を行った。高次脳機能障害を画像評価する手法として、MRI拡散テンソル画像を採用した。拡散テンソルの定量的指標としてはfractional anisotropy(FA)値を用いた。慢性脳虚血状態の症例の大脳白質神経線維のFA値は正常脳に比較し、有意に低下していることが証明された。さらに虚血状態を外科的に改善する血行再建術を施行した場合、高次脳機能の改善がみられ、また白質神経線維のFA値が正常に回復していることも証明された。これらの知見から、脳卒中後高次脳機能低下は大脳白質神経線維の障害に基づくこと、さらに一部の症例においてはこの障害は可逆的な変化であることが明らかとなった。また大脳白質神経線維障害は通常のMRI画像では指摘できない変化であり、超高磁場装置での拡散テンソル画像において描出可能であった。このことは、超高磁場MRI装置の臨床的有用性を証明したことにもつながった。 またどの程度の脳血流低下が外科的治療の範囲であるかを脳灌流画像にて評価した。症例ごとに経時的変化をとらえる必要があるため、脳灌流画像は定量解析を行った。その結果、脳血液量の定量値が手術にて高次脳機能改善するか否かに大きく関わっていることが解明された。 本研究は今後は高次脳機能障害の治療法確立、脳卒中発症前診断法確立への第一歩となる研究である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Ogasawara K et al.: "Prediction and Monitoring of Cerebral Hyperfusion After Carotid Endarterectomy by Using Single-Photon Emission Computerized Tomography Scanning."J Neurosurg. 99. 504-510 (2003)
-
[Publications] Inoue T et al.: "Diffusion Tensor Imaging in Patients with Major Cerebral Artery Occlusive Disease."Neurol Med Chir. 43. 421-425 (2003)
-
[Publications] Ogasawara K et al.: "Quantitative Measurement of Regional Cerebrovascular Reactivity to Acetazolamide Using 123I-N-Isopropyl-p-Iodoamphetamine Autoradiography with SPECT : Validation Study Using H2 15O with PET."J Nucl Med. 44. 520-525 (2003)
-
[Publications] Sasoh M et al.: "Effect of EC-IC bypass Surgery on Cognitive Impairment in Patients with Hemodynamic Cerebral Ischemia."Surg Neurol. 59. 455-460 (2003)
-
[Publications] Kashimura H et al.: "Preoperative evaluation of neural tracts using three-dimensional anisotropy contrast imaging in a patient with brain stem cavernous angioma Case report."Neurosurgery. 52. 1226-1230 (2003)
-
[Publications] Inoue T et al.: "Three-dimensional anisotropy contrast imaging of gliomatosis cerebri : Two case reports."Surg Neurol. (in press).
-
[Publications] 井上 敬: "脳神経外科学大系第9巻閉塞性脳血管障害(橋本 信夫 編集)"(印刷中).