2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳損傷修復効果を示すプロテオグリカン機能ドメインの同定と作用機序の解析
Project/Area Number |
14370449
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
大平 敦彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 部長 (20101074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時田 義人 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 研究員 (50291175)
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Keywords | 中枢神経 / 脳障害 / コンドロイチン硫酸 / プロテオグリカン / ニューログリカンC / ADAM / 神経幹細胞 / FGF-2 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中枢神経系に特異的に発現しているコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)の生理活性を明らかにして、それを基に脳障害の治療への新たな道を拓くことである。本年度の成果は、次の通りである。 1.ニューログリカンC(NGC)の細胞外領域切り出し機構 中枢神経特異的膜貫通型コンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるNGCの細胞外領域は、神経突起身障促進活性や増殖因子としての活性を持つ。また、発達期のラット脳や培養神経細胞の培養液中に検出される。そこで、その切り出し機構に関わるプロテアーゼを、特異性の異なる種々のプロテアーゼ阻害剤を利用して推定することを試みた。TIMP-3およびTAPI-1を、神経細胞の培養系に添加した時、NGC細胞外ドメインの遊離が有意に減少したが、TIMP-1にはこのような効果は認められなかった。このことから、ADAM-17がNGCの切り出しに関わっていることが示唆された。 2.FGF-2依存性の神経幹細胞増殖を促進するCS活性ドメインの同定 神経幹細胞は、脳損傷治療の切り札として期待されている。発生初期の脳において、神経幹細胞の周囲に、種々の脳特異CSPGsが存在することを明らかにした。脳原基から単離・精製したコンドロイチン硫酸(CS)糖鎖は、高硫酸化二糖単位であるE-単位を含み、FGF-2依存性神経幹細胞の増殖を促進した。市販の高硫酸化コンドロイチン硫酸E(CS-E)も、神経幹細胞の増殖促進に関与することから、CS-Eを部分分解して、増殖促進に関わる最小機能単位の同定を試みた。その結果、12糖と推定される3,000kDa画分に強い増殖促進活性が認められた。この画分には、FGF-2と結合するオリゴ糖が含まれることが、水晶発振子マイクロバランス法により明らかとなった。また、6硫酸化6糖も、FGF-2と高親和性を持つが、増殖促進活性は無かった。このことから、FGF-2との結合には、6糖の大きさで良いが、生理活性を発揮するには、その倍程度の分子サイズが必要であることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)