2002 Fiscal Year Annual Research Report
内軟骨性骨化に関する新規遺伝子cystatin10の医療応用のための基礎的検討
Project/Area Number |
14370454
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 和強 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50302691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40282660)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (30344451)
池川 志郎 理化学研究所, 遺伝子多型研究センター, チームリーダー(研究職) (30272496)
加藤 茂明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (60204468)
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Keywords | 軟骨 / 石灰化 / マウス / 遺伝子組み換え |
Research Abstract |
我々は、内軟骨性骨化に関与している遺伝子cystatin10(Cst10)をマウス軟骨細胞からクローニングしたことを既に報告している。本遺伝子産物は、cysteine protease inhibitorであるcystatin familyに属する分子で、軟骨細胞の分化後期に発現し、軟骨細胞の後期分化・アポトーシスの誘導に働くことを見いだしている。本研究では、Cst10の生体内における高次機能を解明する目的で、Crs10遺伝子欠損マウスの作出と骨軟骨組織の解析を試みた。CSt100の3つのエクソンの内、転写開始点を含む第1エクソンをネオマイシン耐性遺伝子で置換したターゲティングベクターを作製し、ES細胞を用いた標的遺伝子組み換え法によって、キメラマウス、ヘテロマウスを経て、ホモ欠損マウス(Cst10^<-/->の作出に成功した。Cst10^<-/->は、メンデルの法則で予想される確率で出生し、成長・外見ともに、野生型マウス(WT)との顕著な差は見いだされなかった。骨軟骨組織の検討のために、同胞の雄性WTおよびCst10^<-/->の長管骨の成長軟骨板および骨組織に関して、単純X線、μ-CT、DEXA (Lunar PlXImus)による骨密度測定、組織学的解析を行った。X線上、Cst10^<-/->(8週齢)の全身骨格の形態的異常はなかったが、大腿骨・脛骨の骨密度は約7%低下し、μ-CTや長軸方向に20分画に分けた骨密度解析で、骨量減少は特に骨幹端部の成長板近傍に強く認められた。組織学的検討では、成長板軟骨の厚さや軟骨細胞の柱状配列は正常に保たれていたが、成長軟骨板直下の一次海面骨量が減少しており、フオンコッサ染色では成長板下端の肥大軟骨細胞層での石灰化が著明に低下していた。以上より、軟骨分化の後期に発現するcystatin10は、生体内では成長板における石灰化に関与している可能性が示された。
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