2004 Fiscal Year Annual Research Report
内軟骨性骨化に関する新規遺伝子cystatin10の医療応用のための基礎的検討
Project/Area Number |
14370454
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹下 克志 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30262009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員(客員助教授) (30344451)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
加藤 茂明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (60204468)
池川 志郎 理化学研究所, 遺伝子多型研究センター, チームリーダー(研究職) (30272496)
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Keywords | cystain10 / 遺伝子改変マウス / 軟骨細胞 / 石灰化 / 骨折 / 変形性関節症 / 異所性石灰化 |
Research Abstract |
本研究では骨・軟骨の形成、再生におけるcystatin10(Cst10)の役割と制御機構を解明し、Cst10の医療応用を実現することを目的として、昨年度までに、形態学的、分子生物学的手法を用いたCst10の生体内での発現および局在の解析、およびCst10ノックアウトマウス(Cst10KO)の骨、軟骨組織の解析により、Cst10が軟骨細胞の石灰化抑制作用を示すことを明らかにした。 本年度は、Cst10KOの軟骨細胞培養実験と骨折モデル、変形性関節症モデル、異所性石灰化モデルの作製実験を行い、野生型マウス(WT)と比較検討した。 Cst10KOの成長板から単離した軟骨細胞培養においては、Alcian blue染色ではWTと差が見られなかったのに対し、Alkaline phosphatase染色やAlizarin red染色では染色性の低下が見られ、Cst10の全長cDNAを含むアデノウィルスベクターの投与によりレスキューされたことより、軟骨細胞に発現しているCst10の役割は、細胞の最終分化の促進と基質の石灰化であることが明らかとなった。また、内軟骨性骨化が関与すると考えられる骨折治癒、変形性関節症における骨棘形成や、高齢化に伴う異所性石灰化においても、Cst10KOではWTに比し石灰化の著明な低下が認められた。またWTでは、これらの病態における石灰化部位においてX型コラーゲンを発現している肥大化した細胞に、Cst10が強く発現していた。 これらの所見から、Cst10は、軟骨細胞石灰化の抑制作用を有し、生理的な骨代謝や骨成長には影響を及ぼさないものの、異所性石灰化や骨折治癒、変形性関節症の病態に関与している事が明らかとなった。
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Research Products
(5 results)