| Research Abstract |
(目的)メカニカルストレスがどの分化段階の軟骨細胞に作用し,骨化を促進させるのかを明らかにするために,ATDC5細胞を用いて,軟骨の分化とメカニカルストレスに対する反応を検討した.(方法)ATDC5細胞を4.2×7.5cmのプラスチックプレートに1×106 cell/plateの密度で37℃,5%CO2存在下に培養した.培養開始後4,7,14,21,28日目に細胞の分化段階を確認し,培養液中でプラスチックプレートを4点曲げて彎曲させる方法によってメカニカルストレス(0.5Hz,2800μstrain)を負荷し,負荷開始後1,6,12,24時間の時点でtotal RNAを抽出した.ノーザンブロット法でII型,X型コラーゲン,アグリカンmRNAのALP,PTH/PTHrP receptor, osteopontin mRNA発現量をコントロール群と比較し,どの分化段階でメカニカルストレスに最も強く反応したのかを検討した.(結果)ATDC5細胞は,培養開始後4日目に凝集領域,7日目に軟骨結節,21日目に肥大型細胞を認めた.培養開始後4,7日目ではメカニカルストレスの効果は認めなかった.しかし,培養開始後14日目よりメカニカルストレスによるII型,X型コラーゲン,アグリカンmRNAの発現増加が認められ,特に,X型コラーゲンは分化に伴い,メカニカルストレスによる発現量の増加を認めた.ALP,PTH/PTHrP receptor, osteopontinではメカニカルストレスによる発現量の変化は明らかでなかった.(考察と結論)ATDC5細胞を肥大型細胞へと分化させると,メカニカルストレスに反応してII型,X型コラーゲン,アグリカンmRNAの発現が増加した.更に,石灰化過程でのメカニカルストレスに対する反応を確認するため,培養期間を延長し検討する必要があると考えられた.
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