荷重応答に対する関節軟骨におけるコラーゲン線維配向の変化の解析

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14370470
• Research Institution: Kyoto Prefectural University of Medicine
• Principal Investigator: 徳永 大作 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (90343409)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 日下 義章 朝日大学, 歯学部, 教授 (40205068) ; 瀬尾 芳輝 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (90179317)
• Keywords: 関節軟骨 / コラーゲン線維 / MRI / T1緩和時間 / T2緩和時間 / DQF NMR / 線維配向度 / 線維方向

Research Abstract

本研究では,荷重負荷時の関節軟骨組織内コラーゲン線維の変形を可視化(画像化)し,解析することを目的として実験を行った.平成15年度は,ウシ大腿骨内顆の関節軟骨を実験材料として使用した.大腿骨内顆後面から前面を5分割し,荷重部,非荷重部に分けた.それぞれの部位から軟骨および海綿骨を一塊として直径8mmの円柱状に摘出し,これを試料とした.平成15年度はまず垂直型荷重負荷試験器を作成した.そして,荷重時における軟骨組織内の各層における含水量とコラーゲン線維の配向度を測定した.摘出試料を荷重負荷試験器に関節面を長軸方向に対して垂直方向に固定し,MRI測定を行った.まず,inversion recovery法でT_1計算画像を,spin echo法でT_2計算画像を撮像した.次いで二量子フィルター(DQF)磁気共鳴画像法(MRI)でDQF MRI画像を撮像した.T_1計算画像,T_2計算画像から軟骨組織内の各層の荷重状態におけるT_1緩和時間,T_2緩和時間を算出した.T_1緩和時間は荷重を負荷すると,transitional zoneにおけるT_1緩和時間が大きく短縮し,この部分における水分含有率が荷重により大きく低下することが明らかになった.これは荷重部,非荷重部とも差はなかった.関節軟骨のtransitional zoneは軟骨が荷重を分散して吸収し,さらに関節の潤滑を得る上できわめて重要な役割を果たすと考えた.T_2緩和時間はtransitional zoneにおけるT_2緩和時間が短縮し,radial zoneのT_2緩和時間が延長した.DQF MRIでもtransitional zoneにおいて荷重とともに信号強度が増加し,radial zoneでは荷重とともに信号強度は低下した.以上が平成15年度に行った実験であり,平成16年度は以上の結果をさらに解析し,各層におけるコラーゲン線維の配向度を計算していく予定である.