2003 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄視床路細胞へのATP P2X受容体感受性入力とカプサイシンVR1受容体入力統合
Project/Area Number |
14370474
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
谷口 泰徳 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10264889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 宗人 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60201018)
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Keywords | パッチクランプ記録 / シナプス応答 / 脊髄 / スライス標本 / 脊髄視床路細胞 / ATP受容体 / カプサイシン受容体 / 痛覚 |
Research Abstract |
カプサイシンに感受性のTRPV1受容体(VR1受容体)は脊髄後角内の痛み刺激を伝達するC線維終末にも強く発現し、末梢からの痛み情報を調節することを明らかにしてきた。本年度において、我々は脊髄後角深層細胞からパッチクランプ記録を行い、抑制性シナプス伝達におけるTRPV1受容体の作用について検討した。細胞外にカプサイシンを還流投与すると、自発性抑制性シナプス後電流は長時間に渡って増強された。本現象はC線維反復刺激によっても観察された。これらのカプサイシン還流投与やC線維反復刺激による抑制系賦活化作用はサプスタンスP受容体阻害剤によって抑制された。以上の結果より、カプサイシン感受性C線維はサプスタンスPを介して、脊髄内抑制系介在細胞を興奮させることが明らかとなった。 また、ニコチンに鎮痛作用があることは既に約70年前に報告されていたが、その作用機序は長らく明らかではなかった。今回、様々な選択的ニコチン受容体作動薬を用い、脊髄後角におけるニコチン受容体の作用機序を詳細に検討した。各種ニコチン受容体作動薬を潅流投与して抑制性シナプス後電流の変化を観察すると、脊髄後角深層と浅層において抑制性シナプス伝達を賦活化させるニコチン性アセチルコリン受容体は異なることが明らかとなった。脊髄深層細胞において上位の中枢神経系に多く発現していると考えられているα4β2サブタイプのニコチン受容体作動薬によって抑制性シナプス後電流は増強された。一方、浅層細胞においては末梢神経側に多く分布するとされるβ4を含むサブタイプのニコチン受容体作動薬によって抑制性シナプス後電流は増強された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 麻殖生和博, 中塚映政, 谷口泰徳, 山田宏, 園部秀樹, 玉置哲也: "ニコチン性アセチルコリン受容体作動薬epibatidineの脊髄内鎮痛機序"脊髄機能診断学. 25・1. 26-31 (2003)
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[Publications] 武田大輔, 中塚映政, 園部秀樹, 麻殖生和博, 谷口泰徳, 吉田宗人: "ニコチンの脊髄内鎮痛機序"PAIN RESEACH. 18・4. 185 (2004)
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[Publications] 園部秀樹, 中塚映政, 武田大輔, 麻殖生和博, 山口泰徳, 吉田宗人: "脊髄痛覚伝達回路におけるサブスタンスPの抑制系賦活化作用"PAIN RESEACH. 18・4. 188 (2003)
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[Publications] Sonobe H, Nakatsuka T, Takeda D, Taniguchi Y, Tamaki T, Yoshida M: "Substance P induced enhancement of GABA/glycine release in deep dorsal horn"Abstract of 1st Pfizer Science and Research Symposium. 1. 53 (2003)
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[Publications] 谷口泰徳, 吉田宗人, 岩田勝栄, 中村正亨, 中塚映政: "肘部管症候群に対するOsborne法の尺骨神経脱臼による影響"日本整形外科学会雑誌. 77. 117 (2003)
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[Publications] 谷口泰徳, 中根康博, 岩田勝栄: "肘部管症候群におけるOsborne浩と尺骨神経脱臼の関係"日本肘関節研究会雑誌. 10. 41-42 (2003)