2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経の損傷と再生における細胞内情報伝達系と軸索内輸送に関する研究
Project/Area Number |
14370481
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
後藤 文夫 群馬大学, 医学部, 教授 (00092015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 亮 群馬大学, 医学部, 助手 (80312875)
斉藤 繁 群馬大学, 医学部, 助教授 (40251110)
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Keywords | ニューロパシックペイン / 局所麻酔薬 / テトラカイン / 電気的知覚閾値 / 神経栄養因子 / ニューロン成長円錐 |
Research Abstract |
「ニューロパシックペイン(神経障害性疼痛)」並びに「局所麻酔薬の神経毒性」について、臨床データの解析と基礎的研究を行った。 1)臨床研究:脳外科手術の適応のない三叉神経痛患者を対象に、内服薬の効果が不十分な症例の三叉神経末梢枝を4〜6%テトラカインを用いて神経ブロックし、その治療効果、神経支配領域の感覚の変化及びニューロメータによる電気的知覚閾値(CPT)を検査した。アルコールなどの神経破壊薬を用いた症例では、感覚障害とCPTの異常が長期間持続することは既に報告したが、高濃度局所麻酔薬を用いた場合には短期間のうちに感覚障害が回復し、神経の損傷に伴うニユーロパシックペインはまったく発生しなかった。現在、長期予後を集計しているが、大半の患者は、内服薬の減量が可能であり、日常生活の質の向上が確認されている。 2)基礎研究:高濃度の局所麻酔薬が発生過程の神経細胞、特にその成長円錐部や神経突起部に強い障害を与え、一定時間の後には不可逆的な結果をもたらすことが証明できた。この効果は局所麻酔薬の種類によって差があり、臨床分野で多用されるリドカインやテトラカインに比較的強力な障害作用が認められた。今年度の研究では可逆的状態と不可逆的状態を区分する決定因子を同定することに主眼をおいて実験を進めた。末梢神経細胞の細胞膜表面に受容体が発現している神経栄養因子(NGF, GDNF, BDNF, NT-3)の神経細胞に対する作用を、リドカインおよびテトラカイン暴露後の培養組織を用いて検討した。また、各栄養因子については、培養細胞に対する至適濃度が存在するといわれているので、栄養因子の濃度を変化させることにより、作用の程度を比較した。その結果、NGFを除く、3因子に関して、局所麻酔薬暴露後の背側神経核ニューロン成長円錐の再生促進作用が認められた。この作用は濃度依存的であったが、因子間の差異はほとんど認められなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Inas AM Radwan, Shigeru Saito, Fumio Goto: "The neurotoxicity of local anesthetics on growing neurons : a comparative study of lidocaine, bupivacaine, mepivacaine, and ropivacaine"Anesth Analg. 94. 319-324 (2002)
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[Publications] Hideaki Obata, Shigeru Saito, Masayuki Sasaki, Fumio Goto: "Possible involvement of a muscarinic receptor in the anti-allodynic action of a 5-HT2 receptor agonist in rats with nerve ligation injury"Brain Res. 932. 124-128 (2002)
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[Publications] Radwan IA, Saito S, Goto F.: "Growth cone collapsing effect of lidocaine on DRG neurons is partially reversed by several neurotrophic factors"Anesthesiology. 97. 630-635 (2002)
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[Publications] Obata H, Saito S, Sasaki M, Goto F.: "Interactions of 5-HT(2) receptor agonists with acetylcholine in spinal analgesic mechanisms in rats with neuropathic pain"Brain Res. 965. 114-120 (2003)
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[Publications] Masayuki Sasaki, Hideaki Obata, Shigeru Saito, Fumio Goto: "Antinociception with intrathecal α-methyl-5-HT, a 5-HT 2A/2C receptor agonist, in two rat models of sustained pain"Anesthesia and Analgesia. (in press).