2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄虚血による神経傷害に対する虚血耐性の治療応用に関する研究
Project/Area Number |
14370490
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂部 武史 山口大学, 医学部, 教授 (40035225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 志朗 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (70322245)
松本 美志也 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60243664)
中木村 和彦 山口大学, 医学部, 助教授 (50180261)
中井 彰 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60252516)
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Keywords | 中枢神経 / 虚血 / 虚血耐性 / 耐性誘導 / 高圧酸素 / 耐性関連因子 |
Research Abstract |
本年度は、虚血耐性誘導に関与する可能性のある因子の検討を行った。実験1:家兎短時間脊髄虚血による虚血耐性関連因子の検討:【方法】全身麻酔下の家兎6羽に6-8分間の短時間虚血負荷を行い、2日目に灌流固定後腰部脊髄膨大部を摘出した。HSP-70、SOD-Cu/Znの免疫染色を行った。【結果】脊髄では運動神経細胞の細胞質がHSP-70陽性であったが、SOD-Cu/Znに関しては明確な結果が得られていない。【考察・結語】短時間脊髄虚血による虚血耐性誘導に、HSP-70が関与していることが示唆された。SOD-Cu/Znに関してはさらに検討を行う予定である。実験2:高圧酵素負荷による中枢神経虚血耐性の検討:【方法】今年度はスクリーニングを主目標としたためラットを用いた。対照群、高圧酸素群、高圧空気群(各群6匹)で検討した。全群に両総頚動脈閉塞+脱血(平均動脈圧50mmHg)10分間の虚血負荷を与えた。高圧酸素群は1日1時間2.5ATAの高圧酸素負荷を5日間行い、高圧空気群は高圧酸素と同様の処置を空気で行い、それぞれで6日目に虚血負荷を行った。再灌流後7日目に灌流固定し、HE染色で海馬の生存神経細胞数を計測した。さらに、虚血耐性関連因子の検討のため高圧酵素と高圧空気(各6匹)のみの処置を行い、海馬および脊髄の免疫染色を行った。【結果】海馬の生存神経細胞数の割合はCA1領域およびCA3領域では3群ともそれぞれ5%程度、50%程度と群間差はなかったが、CA2領域で対照群36±30%、高圧酸素群77±26%、高圧空気群66±35%(平均±標準偏差)と、虚血群に比べて高圧酸素群で有意に多かった(p=0.0087)。HSP-70陽性細胞数の割合は海馬では高圧酸素(61±10%)が高圧空気(51±12%)より有意に多かった(p=0.0407)。脊髄ではHSP-70陽性細胞は認められなかった。SOD-Cu/Zn陽性細胞は海馬および脊髄で高圧酸素、高圧空気共に認められたが、明らかな差はなかった。【考察・結語】高圧酸素負荷による虚血耐性誘導にHSP-70が関与していることが示唆された。ミトコンドリアに存在するMn-SODや他の因子の関与を引き続き検討中である。
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