2003 Fiscal Year Annual Research Report
S(+)―ketamineの循環制御に対する作用選択性の検討
Project/Area Number |
14370493
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西川 精宣 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20145791)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩谷 伸享 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20305642)
森 隆 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00336786)
|
Keywords | 光学異性体 / S(+)-ketamine / 循環調節 / 交感神経活動 / イオンチャンネル / 灌流心 |
Research Abstract |
本研究の目的は、racemic ketamineと比べて強い鎮痛作用、睡眠作用を持つS(+)-ketamineの硬膜外投与と全身麻酔薬を同時投与した場合の循環に対する作用の機序を解明することである。 Whole animal studyとして49羽のウサギで1%(0.5MAC)イソフルレン麻酔下にracemic ketamine, S(+)-ketamineを静脈内、および下胸部硬膜外投与したときの動脈圧、心拍数、腎交感神経活動の変化を調べた。1mg/kgの静脈内投与ではいずれの薬剤でも動脈圧、心拍数、腎交感神経活動に有意な変化はみられず、対照群と差はなかった。Racemic ketamine硬膜外投与では1mg/kgで動脈圧は15mmHg、心拍数は10bpm、腎交感神経活動は50%減少、0.5mg/kgで動脈圧は20mmHg減少、心拍数は有意変化なく、腎交感神経活動は15%減少した。S(+)-ketamine硬膜外投与では1mg/kgで動脈圧は30mmHg、心拍数は20bpm、腎交感神経活動50%減少し、0.5mg/kgで動脈圧は13mmHg減少、心拍数は有意変化なく、腎交感神経活動は20%減少した。Ketamine硬膜外投与による交感神経抑制にNMDA受容体拮抗を介したNO産生の抑制の関与を検討するため、L-arginine 10mg/kg脊髄くも膜下投与後に1mg/kgのracemic ketamineを投与したが、腎交感神経活動はL-arginineで著明に抑制されており判定できなかった。また、ムスカリンM1受容体を介して交感神経活動を増加させるneostigmine 10μg/kgの脊髄くも膜下投与後に1mg/kgのracemic ketamineを投与しても、非前処置群と同じく腎交感神経活動は50%の減少を示した。実験例数の増加に伴う統計処理の結果では、前年度の報告とは若干異なり2剤間に有意差を認めず、循環作用に異性体特異性を支持する結果は得られなかった。 Patch clamp studyはラットのmicro glia cellを用いてATP誘発電流を調べたところ興味ある結果が得られたのでこの細胞で継続している。静脈内投与による臨床濃度の100μMでは有意な変化を示さないが、300μM以上でATP電流は1.5倍に増加し、濃度上昇に伴って濃度依存性の増加がみられた。硬膜外あるいはくも膜下投与ではketamineがサイトカイン放出あるいは神経修復に何らかの作用をもたらす可能性があると考えられる。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Ikeda Y, Nishikawa, K, Ohashi K, Mori T, Asada A: "Epidural clonidine suppresses the baroreptor-sympathetic response depending on isoflurane concentrations in cats"Anesthesia and Analgesia. 97・3. 748-754 (2003)