2002 Fiscal Year Annual Research Report
内因性カンナビノイドの循環制御および疼痛制御機構における役割の解明
Project/Area Number |
14370494
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
外 須美夫 北里大学, 医学部, 教授 (60150447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 民江 北里大学, 医学部, 助手 (00245408)
新井 正康 北里大学, 医学部, 講師 (50222724)
岡本 浩嗣 北里大学, 医学部, 助教授 (50224077)
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Keywords | カンナビノイド / エンドトキシンショック / 微小循環 / 白血球 / 炎症 |
Research Abstract |
マリファナに代表される大麻の成分は生体で多様な作用を引き起こすことが知られている。内因性カンナビノイドであるアナンダマイド、2-AGは、CB1,CB2受容体、トランスポーターなどに作用して、生体に多彩な生理活性を発現させる。最近、内因性カンナビノイドがエンドトキシンショックの早期メディエーターであることがわかってきた。マクロファージや血小板がLPSで刺激されると、内因性カンナビノイドが産生される。LPSショックのメディエーターとしてアナンダマイド、2-AGが考えられている。そこで、微小循環における内因性カンナビノイドの役割を検討した。好中球の血管外遊走は炎症時の特徴的反応の一つである。われわれは、ハムスターの頬袋微小循環を用いて、炎症反応の特徴として認められる好中球血管外遊走および血漿漏出の検討を開始した。Golden hamsterをウレタン麻酔後、気管切開し、自発呼吸下に右頚動静脈にカニューレを挿入した。左頬袋粘膜の細静脈を露出し、細静脈の血流量(Flow)、血流速度(Velocity)、血液量(Mass)を計測した。また、細静脈にロイコトリエンB4(LTB4)を局所投与し、光学顕微鏡下に白血球の粘着(adhesion)、血管外遊走(migration)を計測した。さらに、これに対するカンナビノイド受容体の拮抗薬であるSR141716AとSR144528の効果を検討した。炎症反応における好中球浸潤は、5段階(1:rolling、2:adhesion、3:細静脈内皮細胞間隙の通過、4:細静脈壁内での停滞、5:基底膜や周細胞の通過)を経て進行し、各種の接着因子が関与している。LTB4により、rolling及びadhesionが惹起され、好中球の血管外遊走が確認された。これに対し、Rho-kinase阻害薬を投与すると好中球の血管外遊走が有意に抑制された。現段階では、SR141716AとSR144528の投与による差は明らかではない。 例数を重ねることによって、炎症時の好中球の血管外遊走に対するカンナビノイド受容体の役割が明確になると思われる。
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