外科侵襲下での自然免疫能とToll-like receptor発現について

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14370499
• Research Institution: University of Occupational and Environmental Health, Japan
• Principal Investigator: 緒方 政則 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70169176)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 重松 昭生 産業医科大学, 副学長 (30037428) ; 南立 宏一郎 産業医科大学, 医学部, 助手 (50299632) ; 川崎 貴士 産業医科大学, 医学部, 講師 (60299633)
• Keywords: 外科侵襲 / LPS / Toll like receptor / 自然免疫 / エンドトキシン感受性 / TNF

Research Abstract

平成15年度は 実験.実験.外科侵襲時の細菌貧食能と白血球のTLR発現の変化について臨床研究と動物研究の両方で研究を行なっている。
A.臨床研究:研究内容は、学内の臨床研究倫理委員会に認められ、研究同意を得られた開腹手術予定患者から、手術前、手術2時間後、手術終了時、24時間後の各時点で採血し、以下の項目を測定した。
1、細菌貧食能
得られたを白血球にFITCでラベルしたE.coliを加えて、白血球細菌貧食能をフローサイトメトリーで測定したところ、手術侵襲とともに、細菌貧食能が有意に低下した。
2、単球のToll-like receptor(TLR)発現の変化
全血で、FITC,PEでラベルしたTLR2、4の抗体を用いて、フローサイトメトリーで測定し、好中球、単球にゲイトをかけ手、測定条件を調べた。次に、同意を得られた手術患者を調べた。結果は単球および好中球のTLR4の発現が、手術侵襲により、有意に低下した。現在、TLR2はTLR4に比べて変化が少なく、更に検討を加えている。
B.動物研究:マウスを開腹手術群、コントロール群の2群に分け、エンドトキシン感受性、単球のToll-like receptor(TLR)発現の変化を調べたが、有意な差は認めなかった。つぎに、もっと、外科侵襲を大きくする為、肝臓切除を加えて、マウス全血でのTLR4の発現をPEでラベルした抗体を用いて、フローサイトメトリーで測定したところ、単球のTLR4の発現と細菌貧食能が、手術侵襲と共に、低下する傾向が認められた。現在、更に検討を加えている。
このように、臨床、動物研究の両方で、外科侵襲により、TLR4と白血球細菌食食能が低下する結果が得られた。

Research Products

• [Publications] Kawasaki T., et al.: "Airway management of a child with temporomandibular joint ankylosis following otitis media"Anaesthesia. 57・3. 294-295 (2002)
• [Publications] Nandate K., et al.: "The difference between intramural and arterial partial pressure of carbon dioxide increases significantly during laparoscopic cholecystectomy : the effect of thoracic epidural anesthesia"Anesthesia & Analgesia. 97・6. 1818-1823 (2003)