2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腎細胞癌の治療戦略:VHL蛋白に関わる増殖機構の解明と微小癌の増殖と転移阻止法の開発
Project/Area Number |
14370515
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
執印 太郎 高知医科大学, 医学部, 教授 (80179019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 雅行 高知医科大学, 医学部, 助手 (90304683)
奥田 平和 高知医科大学, 医学部, 助手 (60325420)
井上 啓史 高知医科大学, 医学部, 助手 (00294827)
麻生 悌二郎 高知医科大学, 医学部, 教授 (20291289)
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Keywords | VHL / Ubiquitin liagase / ヒト腎細胞癌 / Hypoxia Inducible Factor |
Research Abstract |
ヒト腎癌は手術以外には決定的な治療戦略がなくサイトカイン療法が軽度の効果を示すのみであり、遠隔転移に対しても決定的といえる有動な治療法はない。clear cell RCCの頻度が80%と最も多くVon Hippel-Lindau(VHL)遺伝子の機能喪失が主な発症原因と考えられている。一方、正常細胞でVHL蛋白は転写伸張因子elongin B、CとともにVCB複合体を形成し、Ubiquitin liagaseとして働き、低酸素時の転写因子Hypoxia, Inducible Factor(HIF)を分解する。VHL蛋自が機能を喪失した癌化における状態ではHIFが過剰産生されて血管新生因子のVEGFやGlucose transporter1等が蓄積し、血管新生の亢進や細胞内へのGlucoseの蓄積は癌の進展に都合の好い環境を作る。しかしこれらの変化だけではヒト腎癌の増殖進展は説明できず、VHL蛋白による細胞増殖を制御する機構が解明されていない点で、増殖機構に基づくヒト腎癌の治療には根本的な限界がある。現時点ではVHL蛋白を遺伝子治療で利用する方法にも技術的な弱点がある。この点から考えてVHL蛋白による細胞増殖の制御機構を解明してその増殖経路の阻害を治療に結びつける事が最も正しい治療戦略である。 我々はVHL蛋白に結合し分解される増殖促進の蛋白群を探索し、これが如何に腎癌の増殖と進展に関わるかを解明しつつある。VCB複合体に結合し分解される増殖促進性の蛋白を複数明らかにし、腎癌に特徴的な増殖のシグナル経路を解明している。
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