Research Abstract |
免疫学的生殖不全におけるNK細胞等の役割を解明することを目的とした. 1.前方視的コホート研究として,自然流産の脱落膜中NK細胞のperforin,CD94,CD161,CD158a,CD158b,CD244発現,CD8陽性T細胞のperforin発現をフローサイトメトリー法で調べ,同時に絨毛染色体核型分析を行った.染色体正常流産(SANK,n=11),染色体異常流産(SAAK,n=18),人工中絶(IA,n=13)の3群で比較した結果,SANKのNK細胞CD158a(26±15%),CD94(50±26%),CD244(81±25%)陽性比率は,SAAKの各42±20%,71±20%,94±4%,およびIAの各44±22%,81±18%,92±5%に比べて有意に低値だった.逆に,SANKのNK細胞(76%±11%)やT細胞(31±9%)のperforin陽性比率は,SAAK(67±17%,24±9%)およびIA(63±12%,20±8%)と比べて有意に高値だった.CD158a(KIR2DL1)やCD94はNK細胞抑制受容体として,perforinは細胞障害性に関与するため,SANKでは脱落膜中NK細胞活性化や細胞障害性が亢進していると考えられる.本研究によって,SANK発症機構における免疫学的要因を初めて明らかにした(Yamada et al., Mol.Hum.Reprod.,投稿中). 2.CBA/J×DBA/2Jの系にpoly(I:C)を負荷することによって55%に流産を起こす免疫学的生殖不全マウスモデルを開発した.このマウスにintact型免疫グロブリンを投与することによって,流産を抑止できることが判明し,特にMφ機能を修飾することで流産抑止効果を発揮することを世界で初めて発見した.
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