2003 Fiscal Year Annual Research Report
精子と卵透明帯の種特異認識機構に関する分子生物学的検討
Project/Area Number |
14370536
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
香山 浩二 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00068496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤井 英明 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (80215904)
赤谷 昭子(長谷川 昭子) 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50212402)
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Keywords | 受精 / 卵透明帯 / 卵母細胞 / 精子 / ZPA / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / 不妊症 |
Research Abstract |
[背景]卵母細胞の周囲に特異的に存在する透明帯は、細胞外マトリックスの一種で、ZPA,ZPB,ZPCの3種の糖タンパクにより構成される。ZPAまたはZPCのノックアウトマウスはメスのみが、不妊である。また、臨床においても透明帯と精子の結合異常が原因と考えられる症例がしばしば指摘されている。しかし、透明帯の詳しい生合成機構については、ほとんどわかっていない。本研究では、透明帯タンパクの合成過程を分子レベルで明らかにするため、異種であるブタZPA(pZPA)遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作成し、pZPAタンパクの卵母細胞内での動向を調べた。[方法]マウスZPA遺伝子プロモーターの下流に、ブタZPAをコードするミニジーンとポリAシグナルを結合し導入遺伝子を構築した。トランスジェニックマウスは前核注入法で作成した。pZPAのmRNAへの転写はRT-PCR法で、またタンパクの発現は、免疫組織染色および共焦点レーザー顕微鏡にて検出した。排卵卵子の透明帯の有無は光学顕微鏡レベルで判定した。[結果]RT-PCR法では、卵巣のみならず、肝臓、腎臓、心臓、肺など多くの組織で陽性反応が見られた。しかし、pZPAタンパクは、卵巣組織内の卵母細胞に特異的に発現した。特に細胞膜の内側近傍に高濃度に局在したが、透明帯には検出できなかった。また、pZPAタンパクは未固定の排卵卵子の表面には検出されなかったが、卵巣内の発育卵母細胞では透明帯と細胞膜間に検出された。[考察]導入したブタZPA遺伝子は発育中のマウス卵母細胞内で合成され分泌されるが、成熟した排卵卵子透明帯には組み込まれないことがわかった。その理由として、ブタpZPAとマウスの他の透明帯タンパクとの結合に不適合があると考えられる。ヒトZPA遺伝子は、ZPAノックアウトマウスの透明帯欠損という表現系を回復することが報告されているが、今回の研究でブタpZPAでは、回復できないことがあきらかになった。アミノ酸配列の比較から、透明帯遺伝子の異常が不妊の原因となるかどうかは不明であるが、遺伝子改変マウスを用いた研究は、その分子レベルでの原因究明に役立つと考えられる。
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