Research Abstract |
1.マウスの胚性幹細胞に,green fluorescent protein (GFP)遺伝子をもつベクターをtransfectionさせ,蛍光下で緑色に発色する胚性幹細胞を作成した.まず,pGFPにあるGFP発現遺伝子の部分をpcDNAneo3.1とライゲーションさせ,ネオマイシン耐性遺伝子を持ち,かつGFPを発現するプラスミド(pcDNAneo3.1/GFP)を得た.マウス胚性幹細胞は,leukemia inhibiting factor (LIF)存在下で培養,増殖させた.回収した胚性幹細胞に,今回作成したpcDNAneo3.1/GFPを,electroporation法を用いてtransfectionした.ネオマイシンで,遺伝子導入された細胞を選別し,できたコロニーが蛍光下で緑色に発色することを確認し,pick upした後再び培養,増殖させてストックした.これにより,この胚性幹細胞をin vitroで分化,増殖させ,培養内耳に移植する際,ドナーとしてのマーカーをもつことができる. 2.胚性幹細胞をin vitroで移植,生着させるためのモデルとして,蝸牛の器官培養を行った.生後6日のマウスの側頭骨を摘出し,蝸牛骨壁を除去,血管条,らせん靭帯,蝸牛軸などをはずし,コルチ器を取り出した.組織の摘出は,すべてクリーンベンチの中で,清潔操作で行った.コルチ器は,培養液(DMEM F12)に浸し,37度,5%CO2の環境下で培養を行った.1,2,3週間培養した組織を,それぞれの時点で4%パラホルムアルデヒドを用いて1時間,4度で固定後,ファロイジン-FITCで染色し,蛍光顕微鏡を用いて形態学的な検討を行った.現在までのところ,3週間まで培養しても,コルチ器の外有毛細胞,内有毛細胞の脱落や配列の乱れはほとんどないことが確認された. 3.in vitroでのコルチ器の障害モデルとして,ネオマイシンを添加した培養液でコルチ器を培養し,ネオマイシンの濃度を変化させた時の,その形態学変化を検討している.
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