2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト味覚受容体遺伝子の遺伝的多型による味覚感受性の個人差及び味覚障害の解析
Project/Area Number |
14370549
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
島田 昌一 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20216063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 信五 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80157750)
鵜川 眞也 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20326135)
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Keywords | 味覚受容体 / hT2R / G蛋白質 / 苦味受容体 / カルシウムイメージング / hT2R16 / gustducin / サリシン |
Research Abstract |
ヒトの味覚には大きな個人差が存在するが、どの様なメカニズムで、個人個人において味覚の感受性に、差が生じるかは未だ不明な点が多い。我々は、味覚受容体遺伝子の塩基配列の解析結果から、4種類の苦味受容体遺伝子においてそれぞれアミノ酸配列に変異を伴う遺伝的多型が存在することを発見した。このことは味覚受容体蛋白の構造が個人によって異なることを意味していると同時に、個人の味覚受容体のアミノ酸配列が異なるのが原因で味を呈する物質に対する感受性や選択性が個人で異なる可能性を示唆している。この遺伝的多型が存在する4種類の苦味受容体の機能を調べるため、まず最初にガストデューシンとGα16のキメラGタンパク質を作成し、カルシウムイメージング法を用いてそれぞれの苦味受容体cDNAをHEK細胞に強制発現し検討し、特定のリガンドを検索した。この結果、サリシンに応答を示すhT2R16の機能解析に成功した。今回の我々の遺伝子の解析で、hT2R16はcoding SNPを有し、172番目のアミノ酸残基が、アスパラギンとリジンのものが存在することが分かったので、この両者のhT2R16cDNAをHEK細胞に強制発現させて、リガンドの応答性を詳しく検索した。hT2R16の172番目のアミノ酸残基がリジンのものとアスパラギンのものとでは、サリシンに対する応答性にはほとんど差は見られなかった。またhT2R16のcoding SNPを有する被検者の苦味物質に対する感受性を調べたが、このSNPに関しても大きな差は認められなかった。今後このシステムを使って他の苦味受容体に関しても同様の方法で解析すれば、味覚受容体遺伝子と味覚感受性の個人差との関係を明らかにできるだろう。
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Research Products
(7 results)