2002 Fiscal Year Annual Research Report
錐体ジストロフィー及び錐体杆体ジストロフィーの原因遺伝子と表現型の多様性の解明
Project/Area Number |
14370556
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 誠 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60283438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 養三 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30166136)
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Keywords | 遺伝性眼底疾患 / 分子遺伝 / 錐体ジストロフィー / 錐体杆体ジストロフィー / CRX遺伝子 / RETGCI遺伝子 |
Research Abstract |
平成14年度の研究目標は、表現型の多様性に注目しつつ遺伝性眼底疾患の原因遺伝子の同定を行うことで、特に日本ではまだあまり検索がされていない錐体ジストロフィー及び錐体杆体ジストロフィーについて、原因遺伝子を同定し遺伝子型と表現型の関連について検討することだった。錐体(杆体)ジストロフィーの30例以上の症例についてCRX遺伝子とRETGC1遺伝子について検討したところ、各々数例づつに原因と考えられる遺伝子変異を同定した。2つの遺伝子共に、海外の錐体(杆体)ジストロフィーの症例で報告されている変異と同じ変異が検出され、人種を超えて同じ遺伝子の同じ変異が錐体(杆体)ジストロフィーの原因となることが明らかとなった。RETGC1遺伝子の変異が原因となる症例では、眼底に殆ど異常がみとめられず、錐体系機能が著しく障害される割には杆体系機能は軽度にしか障害されないという臨床的特徴が認められた。またこれまで報告された錐体(杆体)ジストロフィーを生じるRETGC1遺伝子の変異はすべてコドン838の異常を伴うものだったが、コドン838以外の異常による新規の変異を検出した。 錐体(杆体)ジストロフィー以外の疾患については、これまで視力視野色覚等は正常で夜盲のみを呈する疾患と考えられていた眼底白点症には、小児でも黄斑変性を伴って視力が低下している例が存在することを見い出したり、青錐体増幅症候群では黄斑部に新生血管を伴うもうがあることを明らかにした。またCRX遺伝子の突然変異がレーバー先天盲の原因となることがあることや、一般に眼底に異常は伴わなわず視野はほぼ正常と考えられている不全型先天停止性夜盲では、眼底に網膜変性を伴い視野に暗点を生じる場合もあることなども、分子遺伝学的裏付けをもって示した。これらの結果は欧米の雑誌に報告され、各疾患の遺伝子型と表現型に関する知見を深めることに貢献した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura M, Miyake Y.: "Macular dystrophy in a 9-year-old boy with fundus albipunctatus"Am J Ophthalmol. 133. 278-280 (2002)
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[Publications] Terasaki H, Miyake Y, Suzuki T, Niwa T, Piao CH, Suzuki S, Nakumura M, Kondo M.: "Change in full-Field ERGS afier macular translocation surgery with 360 retinotomy"Invest Ophthalmol Vis Sci. 43. 452-457 (2002)
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[Publications] Nakamura M, Hotta Y, Piao CH, Kondo M, Terasaki H, Miyake Y.: "Enhanced S-cone syndrome with subfoveal neovascularization"Am J Ophthalmol. 133. 575-577 (2002)
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[Publications] Terasaki H, Miyake Y, Suznki T, Nakamura M, Nagasaka T.: "Polypoidal vasculopathy of the macula treated by macular translocation"Br J Ophthalmol. 86. 321-327 (2002)
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[Publications] Nakamura M, Ito S, Terasaki H, Miyake Y.: "Incomplete congenital stationary night blindness associated with symmetrical retinal atrophy"Am J Ophthalmol. 134. 463-465 (2002)
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[Publications] Nakamura M, Ito S, Miyake Y.: "Novel de novo mutation in CRX gene in a Japanese patient with Leber Congenital Amaurosis"Am J Ophthalmol. 134. 465-467 (2002)