2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370558
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
橋本 龍樹 島根医科大学, 医学部, 助手 (90252907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 潤 島根医科大学, 医学部, 助手 (10284027)
八田 稔久 島根医科大学, 医学部, 助教授 (20238025)
大谷 浩 島根医科大学, 医学部, 教授 (20160533)
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Keywords | マウス胎児 / 水晶体 / アデノウイルス / レポーター遺伝子 / βgalactosidase / Xqal染色 |
Research Abstract |
異所性に水晶体を誘導させるため、表皮外胚葉へ水晶体形成に関与している転写調節因子を導入する予備実験として、今年度は、レポーター遺伝子であるLacZを組み込んだ0.5μlアデノウイルス(1.3x10^<13> viral particles/ml)を、妊娠7日目から9日目のマウス胎児の取り巻く羊水中へ注入し、胎児に感染させて妊娠13日目に胎児を取り出してXgal染色により感染部位を調べた。その結果、妊娠8日目に注入した胎児において、発色部位を認めなかった。妊娠9日目に注入した胎児では、頭部・眼球・耳胞・頚部・腹部の一部に発色を認めた。アデノウイルスの感染部位を詳細に検討するため、大腸菌特有のβgalactosidaseに対する抗体による免疫染色によって感染細胞を検出した。その結果、妊娠8日目に注入した胎児では、眼杯の色素上皮層と網膜上皮層の一部の細胞が感染していた。このことは妊娠8日目には神経管から伸びた眼柄が閉じていないため感染したと推測された。また、妊娠8日目及び9日目に注入した胎児は、共に神経管の内腔に面した神経上皮細胞の一部に感染した細胞が点在していた。妊娠9日目に注入した胎児においては水晶体と網膜の間にある間葉細胞に感染していたが、8日目に注入した胎児では認められなかった。妊娠8日目及び9日目に注入した胎児は、共に水晶体線維細胞には感染しておらず、妊娠9日目までに感染した表皮外胚葉は水晶体形成に関与していないことが示唆された。妊娠7日目にアデノウイルスを注入したマウスでは、妊娠中に死亡し、感染した胎児を得ることができなかった。これらの実験結果より、アデノウイルスによって水晶体へ遺伝子を導入のためには、注入時期を妊娠10日目以降に羊水中へ注入するか、または子宮外発生法が可能な妊娠12日目に眼球へ直接注入するなど、感染の時期や方法を検討する必要がある。
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