2002 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋顔面骨代謝の分子生物学的機構解析と遺伝子工学法に基づく至適再生
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14370572
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平野 明喜 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (90208835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 定伯 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (90315250)
藤井 徹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60136661)
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Keywords | ヒト骨髄間葉系幹細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 電子顕微鏡 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 / 骨形成因子 / 細胞周期 |
Research Abstract |
頭蓋骨欠損修復における、分子生物学的機構解析目的に、細胞を用いた移植再生実験として、ヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSC)の細胞増殖性・細胞周期解析・細胞周期発現タンパク解析・電子顕微鏡による形態解析を行った。hMSCはウシ胎児血清にて増殖維持される間は、未分化で均一(homogenous)な細胞集団であり、核は真正クロマチンであった。また、細胞質内は小器官が発達し滑面小胞体のみを認めた。24時間無血清条件後、増殖因子として塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、分化因子として骨形成因子(BMP-2)添加後細胞増殖曲線では、bFGF添加群で添加後3日間、細胞増殖性が維持されたのに対し、BMP-2添加群では2日までに細胞増殖は閾値に達した。bFGFとBMP-2混合添加群では細胞増殖性をbFGF単独添加と同様に維持していた。細胞周期解析(FACS)では、BMP-2添加後1日、2日で無血清非添加群に比較し細胞御周期の著明な進行を認め、ウシ胎児血添加群と同等であった。細胞周期発現タンパク解析では、G1期に発現するPCNA(Proliferating Cenular Nuclear Antigen)、M期に発現し、細胞周期を維持するとされるPTTG(Pituitary Tumor Transforming Gene)をウェスタン・ブロット法にて解析し、BMP-2添加により、G1期M期の細胞周期亢進を確認した。また、免疫細胞染色にてS期に発現するBrdUタンパクの発現上昇も認めた。電子顕微鏡像では、10%ウシ胎児血清培養下で細胞は20μm以上の大型で単一由来細胞像を呈しており、核は真正クロマチンを示し、細胞内小器官の発達と滑面小胞体のみが認められました。一方、BMP-2添加後は添加後1日、2日と細胞質内に徐々に粗面小胞体の発達を認め、核も異クロマチン化し、細胞分裂像も認めた。以上より、hMSCの未分化増殖性と骨分化特性が解析され、細胞-由来移植再生療法に有用な基礎的所見が得られた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Akita S, Rashid Ma, Ishihara H, Daian T, Dazai S, Fujii T.: "Cytokine-dependent gp130 receptor subunit regulates rat modified axial-pattern epigastric flap"J Invest Surg. 15(3). 137-151 (2002)
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[Publications] Akita S, Nakagawa H, Akino K, Fukui M, Fujii T.: "Stem Cells in Cutaneous Wound Healing"Journal des Plaies et Cicatrisations. (in press).
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[Publications] Daian T, Hirano A, Fujii T, et al.: "IGF-1 Enhances TGF-β-induced Extracellular Matrix Protein Production through the p38/ATF-2 Signaling Pathway in Keloid Fibroblasts"J Invest Dermatol. (in press).
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[Publications] 平野 明喜, 江頭通弘, 横内 哲博, 藤井 徹, 村上 隆一: "呼吸・食物摂取障害に対する口腔底筋骨膜下剥離術"日本形成外科学会会誌. 22巻(印刷中). (2002)
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[Publications] 平野明喜, 鈴木弘之: "口唇裂、口蓋裂患者の顎骨骨切り術施行におけるチーム医療-形成外科と矯正歯科の立場より-"形成外科. 45巻3号. 223-230 (2002)
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[Publications] Akita S, Fukui M, Fujii T, Akino K: "Interaction between mesenchymal stem cells and osteogenic cytokines in vitro and in vivo"ETRS Proceedings of the Status of New Technology in Tissue Repair. (in press).
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[Publications] 平野明喜: "形成外科ADVANCEシリーズII-9、骨延長術 細菌の進歩。波利井清紀監修、杉原平樹編集"克誠堂出版. 230 (2002)