2003 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋顔面骨代謝の分子生物学的機構解析と遺伝子工学法に基づく至適再生
Project/Area Number |
14370572
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平野 明喜 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90208835)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 定伯 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90315250)
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / 骨形成因子(BMP-2) / 塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF) / 骨塩量(Bone Mineral Density, BMD) / アルカリフォスファターゼ(ALP) / オステオカルシン |
Research Abstract |
頭蓋骨欠損状態の効果的骨治癒・再生方法として、ヒト間葉系幹細胞(human mesenchymal stem cells,hMSCs)及び、骨形成因子(bone morphogenetic protein-2,BMP-2)及び塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor,bFGF)と、鋳型・担体として、ゼラチン製剤であるゲルフォームを用いて、in vitroでの骨培地(デキサメサゾン、アスコルビン酸、β-グリセロリン酸などを含む培地)での細胞増殖曲線、骨形成因子(培地中と細胞のアルカリフォスファターゼ発現)と、T細胞活性欠損ヌードラット(F344/NJCI-rnu)を用いた頭頂骨全層欠損モデルにて検討・調査した。BMP-2(50ng/ml)、bFGF(2.5ng/ml)の濃度にて、観察4日間中、4日日にBMP-2とbFGFを共に添加した群でのみ、有意な細胞増殖を認め(p<0.05)、骨形成因子であるアルカリフォスファターゼ(ALP)の培地中の活性も陽性細胞数も、4日目に対照群に比較して有意な上昇をBMP-2またはbFGF単独添加で認めた。BMP-2とbFGFの共添加では単独添加群よりも有意な上昇を認めた(p<0.01)。動物実験では二重X線吸収骨塩測定法による、骨塩量定量では、4週目にBMP-2とbFGF添加した群において、PBS群、幹細胞単独群に比較して、有意な骨塩増加)(p<0.01)認めた。組織像では、2週目に幹細胞単独群において塩基性のミネラル化を認め、更に幹細胞にBMP-2及びbFGF添加した群では骨芽細胞の裏打ち(lining)も認められた。4週では、PBS群にも内因性の間葉系細胞に沿って塩基性ミネラル化を認め、幹細胞単独群では層状骨形成お骨稜形成を認めた。更に幹細胞にBMP-2とbFGF添加した群では骨細胞が骨芽細胞と破骨細胞に囲まれてきておりより進行した骨再生像であった。8週目には群間の差は見られなくなった。免疫組織法にて、幹細胞にBMP-2とbFGF添加した群では著明なALP陽性となり、更に成熟骨マーカーであるオステオカルシン発現も認められた。以上から、ヒト間葉系幹細胞はサイトカインの刺激により細胞増殖・骨分化誘導し、効果的な骨再生により、頭蓋骨治癒に有用であることが分かった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Daian T, Hirano A, Fujii T, et al.: "IGF-1 Enhances FGF-β-induced Extracellular Matrix Protein Production through the p38/ATF-2 Signaling Pathway in Keloid Fibroblasts"J Invest Dermatol. 120. 956-962 (2003)
-
[Publications] Akino K, Mineta T, Fukui M, Fujii T, Akita S.: "Bone morphogenetic protein-2 regulates proliferation of human mesenchymal stein cells"Wound Repair Regen. 11. 354-360 (2003)
-
[Publications] Akita S, Nakagawa H, Akino K, Fukui M, Fujii T: "Cellules souches pour la cicatrisation des plaies cutanees"Journal des Plaies et Cicatrisations. 8. 13-17 (2003)
-
[Publications] Akita S, Fukui M, Nakagawa H, Fujii T, Akino K: "Cranial bone defect healing is accelerated by mesenchymal stem cell by co-administration of bone morphogenetic protein-2 and basic fibroblast growth factor"Wound Repair Regen. 12. 254-261 (2004)
-
[Publications] 平野明喜, 鈴木弘之: "口唇裂、口蓋裂患者の顎骨骨切り術施行におけるチーム医療 形成外科と矯正歯科の立場より"形成外科. 45:3. 223-230 (2002)
-
[Publications] 平野明喜, 江頭通弘, 横内哲博, 藤井徹, 村上隆一: "呼吸・食物摂食障害に対する口腔底筋骨膜下剥離術"日本形成外科学会会誌. 22:10. 703-708 (2002)