2003 Fiscal Year Annual Research Report
ケロイド及び肥厚性瘢痕の分子病態と制御遺伝子の解明-無瘢痕外科治療を目指し
Project/Area Number |
14370574
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
百束 比古 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00165135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 南堂 日本医科大学, 医学部, 講師 (20010051)
村上 正洋 日本医科大学, 医学部, 講師 (00239500)
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Keywords | ケロイド / microarray解析 / Real-Time PCR / c-erb B / Par-1 / Mda-7 / TGF-β1 / Decorin |
Research Abstract |
1、約千種のプローブを含むDNA-microarray法による検索で、ケロイド線維芽細胞培株において特異的発現性が示されていた8種の遺伝子の中、erb-B oncogeneについて重点的に調べた結果、それら増殖関連遺伝子群の中、c-erb-B2及びc-erb-B4はNorthern法による検索では、正常皮膚由来線維芽細胞株と比較して差異が認められなかった。 2、新たに樹立した細胞株の中、ケロイド線維芽細胞株2種及び正常線維芽細胞株1種を用い、約2万種のプローブを含むDNA-microarray法により、ケロイド組織細胞特異的な遺伝子発現につき検索したところ、新たに20種のケロイド組織細胞特異発現遺伝子を見出した。 3、千種プローブによるmicroarray解析では、Par-1遺伝子のケロイド特異的発現、及び、正常細胞でのMda-7遺伝子の高発現が推定されたが、後の2万種プローブによる検索では、Par-1遺伝子の特異的発現が1種のケロイド線維芽細胞にのみ見られ、Mda-7遺伝子発現特異性は見られなかった。 4、Real-Time PCR法により、Par-1およびMda-7遺伝子発現についてより定量的に調べたところ、千種プローブを含むmicroarray解析によるものとは相反する結果を得た。この点につき、今後、より詳細な解析が必要とされる。 5、2万種プローブによるmicroarray解析による20種の特異的発現遺伝子の中、collagen形成及び線維芽細胞増殖に関わることが知られるproteoglycanの一であるDecorin遺伝子発現が、ケロイド線維芽細胞では正常細胞に比し約50%低い発現率を示すことが判明したので、Decorin分子と共役して作用すると考えられるTGF-β1遺伝子発現についてReal-Time PCR法により調べたところ、ケロイド組織細胞では約50%の発現性の低下を示すことが知られた。 6、現在、Decorin遺伝子及びTGF-β1遺伝子発現の低下が、ケロイド細胞増殖及びそのcollagen形成に与える影響について検索中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 百束 比古, 小川 令: "ケロイド・肥厚性瘢痕に対する電子線照射療法:その基礎と臨床"形成外科. 47・5. (2004)
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[Publications] Ogawa R, Hyakusoku H, et al.: "Reconstruction of axillary scar constrictures-retrospective study of..."British Journal of Plastic Surgery. 56・2. 100-105 (2003)
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[Publications] Ogawa R, Hyakusoku H, et al.: "Severe neck scar contracture reconstructed with a ninth dorsal inter..."Annals of Plastic Surgery. 52・2. 216-219 (2004)
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[Publications] 百束比古: "形成外科学・第2版(分担)"南山堂. 422 (2004)