2002 Fiscal Year Annual Research Report
A群レンサ球菌表層タンパクを介する細胞侵入機構の解析及び同感染症制御法への応用
Project/Area Number |
14370582
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川端 重忠 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50273694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 成史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50311759)
中川 一路 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70294113)
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Keywords | Streptococuus pyogenes / 細胞侵入 / 付着 / 遺伝子 / ワクチン / ゲノム / 劇症型レンサ球菌感染症 |
Research Abstract |
A群レンサ球菌(group A streptococci : GAS)はヒトの咽頭部より感染し,咽頭炎,扁桃炎,肺炎などを引き起こす.GASはMタンパクの抗原性に基づき100種類以上の血清型に分類され,ワクチンの開発を困難にしている.M1型菌SF370株のゲノムデータベースは2001年に完全型が公開された.これまでに我々はこのGASデータベースの初期型を応用して,新規のフィブロネクチン結合タンパクFbaAを同定し,同タンパクが細胞侵入に関与していることを報告した. 平成14年度ではこれまでにフィブロネクチン結合タンパクの存在が報告されていないM3型およびM18型GASにおいて,新規のフィブロネクチン結合タンパクFbaBを同定した.データベースによる相同検索の結果,FbaBのN末端部はコラーゲン結合タンパクCpaに,中央部からC末端部にかけてはフィブロネクチン結合タンパクProteinF2に高い相同性を示した.特に,ProteinF2相同領域は20〜30アミノ酸からなるモチーフの繰り返し構造が認められ,過去の知見に基づいて考察するとフィブロネクチンに結合すると推測された. ビオチン標識フィブロネクチンを用いたリガンド解析の結果,同繰り返し部分がフィブロネクチンの結合領域であると確認できた.さらに,FbaBはヒト咽頭上皮細胞HEp-2に対して,細胞付着素ならびに侵入素として機能することが示唆された.興味ある知見として,劇症型レンサ球菌感染症患者由来の臨床分離株において,50%を越えるタンパクの保有率がウエスタンブロット解析で明らかになった.一方,単純性咽頭炎患者由来の臨床分離株においては,5%以下の保有率であった.さらに,臨床分離株のn数を増やして検討しなければならない. FbaBタンパクを遺伝子操作により不活性化した変異株を作製し,マウス腹腔に感染させることで,同タンパクの病原性を検討した.その結果,野生株による高いマウス致死性に対して,変異株による致死性は有意に低かった.FbaBはマウスに対する病原性に関与していることが示唆された.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kawabata S, et al.: "A novel, anchorless streptococcal surface protein that binds to human immunoglobulins"Biochem Biophys Res Commun. 296. 1329-1333 (2002)
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[Publications] Terao Y, et al.: "Molecular characterization of a novel fibronectin-binding protein of Streptococcus pyogenes strains isolated from toxic shock-like syndrome patients"J Biol Chem. 277. 47428-47435 (2002)