2003 Fiscal Year Annual Research Report
味覚についての情動行動ならびに学習と記憶の脳機構に関する神経科学的研究
Project/Area Number |
14370593
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 隆 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60028793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 秀明 大阪大学, 歯学研究科, 助教授 (00263301)
乾 賢 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (40324735)
志村 剛 大阪大学, 人間科学研究科, 助教授 (80150332)
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
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Keywords | 味覚 / 脳 / 嗜好学習 / 嫌悪学習 / 脳機能計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、味の刺激により、脳のいかなる細胞が、どのような遺伝子の発現を伴い、どのような物質を産生し、その結果ニューロン応答性がいかなる可塑性変化を示すようになるのかを明らかにすることである。また、ヒトを対象とした実験では、味の質の情報処理、おいしさ・まずさ(快・不快)といった情動性に関する脳機能を非侵襲的脳機能計測法により明らかにすることである。本年度は以下のような研究実績が得られた。 1.味覚嫌悪学習の脳機序に関する研究:ラットの脳内報酬系に属する腹側淡蒼球にはドーパミンやGABAを伝達物質とするニューロンが投射するが、ムシモールでGABA受容体を活性化することにより、サッカリンに対する味覚嫌悪学習は阻害された。 2.味溶液摂取と遺伝子発現の関与に関する研究:ラットがサッカリン溶液を摂取したとき、orexin, MCH, NPYなどの摂食促進物質のメッセンジャーRNAのレベルが上昇した。 3.味覚嫌悪学習の脳活動変化:ラットを用い、0.1M NaClに嫌悪条件づけをすると、結合腕傍核の中心内側亜核の細胞でFOS陽性細胞が多数観察された。 4.非侵襲的脳機能計測法による研究:味刺激や食物摂取時のヒトの脳の活動を光トポグラフィー法により調べた。その結果、大脳皮質味覚野以外に、体性感覚野などの脳部位が、食物に対する嗜好性やテクスチャーに応じて活性化することがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Treesukosol, T.Yamamoto et al.: "The effect of taste stimuli on histamine release in the anterior hypothalamus of rats"Brain Research. 964・1. 51-55 (2003)
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[Publications] U.Watanabe, T.Yamamoto et al.: "A comparison of voluntary salt-intake behavior in Nax-gene deficient and wild-type mice with reference to peripheral taste inputs"Brain Research. 967・1-2. 247-256 (2003)
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[Publications] N.Sako, T.Yamamoto et al.: "Synergistic Responses of the Chorda Tympani to Mixtures of Umami and Sweet Substances in Rats"Chemical Senses. 28・3. 261-266 (2003)
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[Publications] S.Ugawa, T.Yamamoto et al.: "Amiloride-insensitive currents of the acid-sensing ion channel-2a (ASIC2a)/ ASIC2b heteromeric sour-taste receptor channel"Journal of Neuroscience. 23・9. 3616-3622 (2003)
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[Publications] T.Yamamoto: "Brain mechanisms of sweetness and palatability of sugars"Nutrition Reviews. 61・5. S5-S9 (2003)