2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370597
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
姜 英男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50177755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 真之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (00300830)
齋藤 充 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50347770)
石井 久淑 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00275489)
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Keywords | 三叉神経中脳路核ニューロン / Na^+ / K^+ポンプ / hチャネル / 咀嚼運動 / 筋紡錘 / 歯根膜 |
Research Abstract |
三叉神経中脳結核(Vmes)ニューロンは、その末梢突起を閉口筋筋紡錘や歯根膜に送る一次感覚ニューロンであるが、咬筋の電気刺激ではH反射が誘発され難いことから、咀嚼運動において重要な働きをしないと考えられてきた。しかし、咬筋の受動的伸展や電気刺激では表面化しないVmesニューロンの働きは、随意運動に際して表面化する性質が明らかとなり、反射経路の中継ニューロンでありながら、中枢性制御により、Vmesニューロンの興奮性が調節されていることが明らかとなった。そこで、本研究では、ホールセルパッチクランプ法を用い、三叉神経中脳路核ニューロンの電気生理学的膜特性を明らかにすることを目的とした。本年度は、脱分極パルスのオフセット直後に生じる-120mVを越える急峻な後過分極電位(pulse-AHP)の生成機構について解析を行い、以下のことを明らかにした。 Cs^+或いはNa^+/K^+ポンプ阻害剤ouabainにより、pulse-AHPの生成が阻害された。従って、pulse-AHPはNa^+/K^+ポンプの働きによってもたらされたものであり、h電流によるNa^+の流入がNa^+/K^+ポンプを活性化していることが示唆された。膜電圧固定法により、pulse-AHPの間に流れる電流は、すばやく立ち上がる外向き電流とそれに続きゆっくりと立ち上がる外向き電流の二成分よりなるNa^+/K^+ポンプ電流であることが示唆された。さらに、立ち上がりの速いNa^+/K^+ポンプ電流の生成はh電流の脱活性化状態と何らかの関係があると考え、以下の実験を行った。h-電流を十分に脱活性化した状態から過分極パルスをかけh電流を新たに活性化した場合には、立ち上がりの速い外向き電流に引き続き、h電流自体がouabain感受性の電流として現れた。こうした内向きのh電流がouabain感受性の電流として出現することは予想外の結果であった。最近の報告によると、過分極パルスのオンセット時にはNa^+/K^+transporterのNa^+結合部にNa^+が瞬時に捕捉され、順に発現しているすべてのtransporterが一斉に準備状態になるとされている。この準備状態で、過分極パルスにより活性化されたh電流により、hチャネルを通ってNa^+の流入が生じるやいなや、立ち上がりの速いポンプ電流が生じ、hチャネルの周辺にcommand pulse以上の過分極をもたらし、さらなるhチャネルの活性化が生じたものと考えられる。このことは、ouabainによるh電流電位依存性活性化曲線の過分極方向への移動により実証された。逆向きの電流を生じるチャネル系でありながら、機能協関が存在する可能性が認められた。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Minami M. et al.: "The involvement of 5-HT_3 and 5-HT_4 receptors in the anti-cancer drug-induced emesis"Biogenic Amines. (in press). (2003)
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[Publications] Ishii H. et al.: "Molecular basis underlying GABA_A responses in rat mesencephalic trigeminal neurons"Neuro Report. 13. 2265-2270 (2002)
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[Publications] Aoyagi T. et al.: "The role of Ca^<2+>-dependent cationic current in generating gamma frequency rhythmic bursts : modeling study"Neuroscience. 115. 1127-1138 (2002)
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[Publications] Fukai T. et al.: "Modeling the layer V cortical pyramidal neurons showing theta-rhythmic firing in the presence of muscarine"Neurocomputing. 44・46. 103-108 (2002)
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[Publications] Terasawa H. et al.: "Influence of tooth-loss and concomitant masticatory alterations on cholinergic neurons in rats : immunohistochemical and biochemical studies"Neuroscience Research. 43. 373-379 (2002)
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[Publications] Kobayashi M. et al.: "Functional anatomy of chemical senses in the alert monkey revealed by positron emission tomography"European Journal of Neurosciece. 16. 975-980 (2002)
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[Publications] Aoyagi T. et al.: "A bursting mechanism of chattering neurons based on Ca^<2+>-dependent cationic currents"Neurocomputing. 38-40. 93-98 (2001)
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[Publications] Takada M. et al.: "Immunohistochemical localization of voltage-gated calcium channels in substantia nigra dopamine neurons"European Journal of Neuroscience. 13. 757-762 (2001)
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[Publications] 銅谷 賢治 他 編著: "脳の情報表現 ニューロン・ネットワーク・数理モデル"朝倉書店. 216 (2002)